次の個体は,下部鱗弁は暗褐色で,鱗弁縁毛が淡黄褐色となっています.
これはミヤマキンバエとニセミヤマキンバエどちらになるのでしょうか?
なお,キンバエ類で両種同様に腹部背板後縁に暗色帯を備えるトウキョウキンバエHemipyrellia ligurriensは,後胸前側板の黒色毛で区別しています.
よろしくお願い致します.
暗褐色と赤褐色、黄褐色という表現は結構微妙な個体差を考えるとそれのみを同定のキーとするにはかなりきついといわざるを得ません。とりあえず楽なのは♂ゲニや♀の第6腹板を見れば一発です。
ちょっと同定のキーとしては怪しいと感じてはいるのですが、腹部第3腹節の帯が中央部で細くなるのがニセミヤマキンバエで細くならないのがミヤマキンバエということになっています。
市毛様、ハエ男様、こんにちは。
私の手持ちのミヤマとニセミヤマの標本は、オスのゲニで確定しましたが、ニセミヤマの下部鱗弁はかなり白ぽいです。
ハエ男さんのおっしゃる腹部第3腹節の帯の幅は、検索の通り、ミヤマで太く、ニセミヤマで細くなっています。
市毛さんの画像は、鱗弁縁毛が淡黄褐色ながら、下部鱗弁そもののは暗褐色で、腹部第3腹節の帯の幅が太く見えますので、ミヤマキンバエの可能性が高いのではないかと思います。
メスは難しいですね。私は今のところ、安易な道を選んで、メスはほとんど採ってません。(ほんとは 逃げちゃいけないのですが・・・)
ここのところしばらく持病の脊椎関節炎の症状が悪化して、しばらくダウンしてご無沙汰していました。
やはりクロバエ科は採集したらなるべく早く雄のゲニタリアを起こし、雌の産卵管を引き出してピンにマウントし、そのときに同定ラベルをつけてしまうのが一番です。乾燥して硬くなってしまった標本でも、水分を少し加えた正露丸フィルムケースに入れて軟化すると、ゲニタリアや産卵管をうまく処理できることがあります。
マレーゼトラップやFITなどの液浸標本として回収される標本では、カールス液やディートリッヒ液のようなホルマリン+エタノール+酢酸+水の組成の保存液を用いると、ひどく硬化しないので雌の産卵管の引き出しでも十分可能です。ゲニタリアと産卵管の処理をしてから、洗浄して固定液を除去し、サブロスキー法などで乾燥標本にするとよいかと思います。
ニセミヤマキンバエは、少なくとも私が今まで採集したものは、下部鱗弁が淡いクリーム色のものばかりでした。ミヤマキンバエは、液浸標本でも下部鱗弁の黒っぽさが非常に目につきます。
ハエ男様,バグリッチ様,ウミユスリカ様.
コメントありがとうございました.
今年は注意して採集してみます.