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一寸のハエにも五分の大和魂・改
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KOH処理 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/01/02(Wed) 12:23:08 No.4143  引用 
新しい年が始まりましたが,旧年より少しはましな年になってもらいたいという思いで元旦を迎えました.旧年はこの掲示板で双翅目について多くの未知の知見をみなさんから学ぶことが出来まして,感謝しています.昨暮まで北隆館の大図鑑第3巻改訂にほぼ半年を費やし,現在は東海大出版の日本産水生昆虫の改訂に忙殺されています.それでパグリッチさんのEpicyptaなどへのレスなどもできないでいます.しかし忙中閑ありで,テクニックの一つ.

以前たしか市毛さんから色の黒い交尾器などの脱色法についての問合せにお答えしたと思います.これとの関連で.私は交尾器のKOH処理は次ぎのようにしています.図はバイオ関係で使うスチロールの容器です.これは24穴のものですが,他にもいろいろの穴のサイズがあります.これと,20×30×15cmくらいのアイスクリームなどの輸送に使う発泡スチロール保冷容器です.穴に深さ1ccほど15%KOHをいれてそれに処理すべき交尾器や虫本体をいれて蓋をします.初めにKOH溶液をいれておいてから虫などをいれます.逆にすると静電気で交尾器など小さいものははね飛ばされることがあります.沸騰した熱湯を保冷容器に半分ほどいれて,これに前記したKOH処理用のスチロール処理具を浮かせます.ふたをして通常は10分でKOH処理が完了します.この方法ですと火の心配はないし,沸騰・湯煎処理での毛の変形もないし,しかも多数を間違えることなく(もちろん注意が必要ですが)処理できます.難点は沸騰したビーカーなどの湯煎に比べると急激に処理が行われないのでKOHによる筋肉の軟化膨大で骨化部が破損することがあるのと,材料内の気泡が抜けにくい点です(これは沸騰湯煎でもある程度おこりますが).この方法であと30分から1時間処理を続けると暗く着色して構造が分りにくいものでもかなりの脱色が行われます.数時間も処理するとすっかり色がなくなることがあるので要注意です.色がなくなりすぎて構造が逆に分りにくい時にはデラフィールドヘマトキシリンで着色すると骨化部が鮮明な青に染められます(染め過ぎたら10%くらいの酢酸で退色(弁色)可能です).

KOH処理が終わったら,シャーレなどの水中である程度汚れやKOHを洗い流し,同じタイプの容器に水を入れておいて,同じ位置の穴に移します.10-20分ほどしてから,3番目の容器の水に移し,これに10%くらいの酢酸溶液(酢でもいい)を一滴おとしてKOHの中和をします(これをしっかりやらないと数年するうちに材料は退色が進んで無色透明になる).次に第4の容器に水を入れてこれで酸を洗い流し,第5の容器に80%くらいのグリセリンをいれておいて,これに移してすべての処理が完了.後は観察するのみです.

6個以内の材料ですと,1個の容器に4列6個の穴があるので,上からKOH,水,酢酸溶液,水の順に入れておけば後は別の容器のグリセリンに移せます.4個以内なら左側をKOHにすれば,グリセリンまで1個の容器で処理できます.このスチロール容器は観察が終わった材料のグリセリン中での保存にも適しています.

KOH処理用のスチロール容器は理科器具店から何人かで纏めて買えば安いものです.


Re: KOH処理 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/01/02(Wed) 20:54:03 No.4148  引用 
アノニモミイア様,今年もよろしくお願い致します.

恐らく,セルカルチャープレートと呼ばれる容器と同じかと思われます.
確かに,一度にたくさんの交尾器を処理出来,便利そうですね.

Re: KOH処理 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/01/02(Wed) 21:25:02 No.4150  引用 
市毛さんの言うとおりセルカルチャー用のプレートです.私はデンマークのNUNCtm社の24穴(カタログNO.143982)と12穴(カタログNo.150628)を主に用いていますが,大型のもの(ガガンボなどの脚の長いものの全体処理)には6穴,単に交尾器のみを保存するのには96穴のもあります.

以前は試験管を使ってビーカーで湯煎で処理していましたが,上記の方法を採ると多数を一気に処理できます.ただし,材料の混同が起らないような細心の注意が必要です.また,KOH溶液の使いまわしがあまり利かない点があります.短時間の処理では蓋をしないほうが良いようです.

材料内に入った気泡を水に溶解させて消えさせる方法(1,2日かかっても良いという余裕がある場合)では,一度沸騰した湯冷ましを使うと気泡の水への溶存が早いようです.(急ぎでは注射器を使った減圧法もあります)

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