はじめまして。福岡県に住む高校生です。自然観察はまだ始めたばかりなのでなかなか虫の種類の特定が出来ず、ましてや、ガガンボとなると難しくて・・・
撮影地も福岡県で、シナサワグルミの木に留まっています。 どうかご解答お願いします。
ひよどりさん>ようこそ 管理人のハエ男です。
私たちもできるだけわかる範囲でお答えしたいと思いますが、質問する際の留意事項がありますので、「上の方にあります留意事項をお読みの上投稿をお願いします。」 双翅(ハエ)目の同定(種名を調べる事)は結構大変な作業です。なぜなら良く似た種類が多くてぱっと見では決定できない場合がほとんどなのです。よほど特徴的で、近縁な種が少ないグループでないと生態画像からの同定はかなり難しいといわざるを得ません。 双翅目の場合は、撮影→採集して現物を確保→翅脈や♂交尾器をはじめとして体の各部分の形質の検討→種名が決定といった流れになります。 また昆虫の同定のはじめの一歩として「昆虫は硬い甲羅状の皮膚の内側に筋肉を持つ外骨格の昆虫であり、♂と♀の交尾器がカギと錠の関係になっていて、その形は種によって固有である」という考え方があります。(つまり、模様が似てても交尾器の形が違えば別種であるということです。) 双翅目は大変種類数が多く、約120科、種数では5000種は軽く超えている大きな分類群なので、外見が良く似ている物が大変多いのです。模様だけでなく、体の剛毛、刺毛、軟毛などの状況や♂交尾器の形状がわからないと正確な種が特定できない場合が大変多いのです。 調べる側として、絶対に欠かせない情報があります。それは採集(撮影)データです。いつ、どこで撮影したかという情報は昆虫の種名候補を絞り込んでいく上で大変重要な情報なので、それらについては必ず書き込んでくださいね。 記事No4050のAclelisさんの一連の投稿のような感じで投稿していただくのが理想的といえると思います。 それでようやく本題ですが・・・ガガンボ類は種類数が大変多く、また未記載種(新種とも呼ぶ)や日本未記録種も大変多い分類群なので、一方向のみの画像では同定は難しいと思われます。ガガンボは双翅目を普段追いかけてる私たちですら難しい分類群です。達磨さん(ガガンボの師匠)のご登場をお待ちしませう・・・
昆虫を調べていくのに文献集めは欠かせません。そのやり方については下記サイトをご参照ください。
http://matumusi.afz.jp/bunken1.html
待たれて登場。達磨です。
ハエ男さんのおっしゃるように通常は生態写真から種を特定するのは難しいことなのです。特徴を示す部分の写真があってもわからないことも多いんですけどね。 しかし、今回の場合、見当がつきました。この個体は後脚の基部近くに白い部分が一か所あり、フ節の大部分が黒いので、Tipulodina joana (Alexander, 1919)の♀だろうと思います。 この種にはまだ和名がありません。Joanaという名前はAlexander博士の母(Ms Jane Paker Alexander)に献名されたものです。 幼虫は木の洞の水たまりにすみ、成虫はその木の周りをまとわりつくように飛び回ります。
大変遅くなりまして、すみません。
留意事項を読まず、普段からの「掲示板には情報を書きすぎてはいけない」といった勝手な考えだけで投稿しご迷惑をおかけして、大変申し訳ありません。 まずはその掲示板のルールを知ってから書き込むということ、今後気をつけます(他の板にいく時も) ハエ男さん、達磨さん、大変参考になりました。僕らには「同じ種類」としか見えないものであっても、実際に双翅目を判別するとなると非常に細かいところで判別しなければならないということが身にしみるように感じました。 今更、と思われるかもしれませんが、この写真は2007年3月31日、福岡県小郡市にて撮影したものです。 「和名がない」と聞き、大変驚きました。そんな種類もあるのですね。一度、外国の蛍で和名がないものは聞きましたが、日本にいるもので和名がないというのも・・・なんか不思議な感じです。 いきなり失礼なことをしてしまいましたが、今後もどうかよろしくお願いします。
ひよどりさん
そんなにお気になさらないようにしてください。 >「和名がない」と聞き、大変驚きました。 >そんな種類もあるのですね。一度、外国の蛍で >和名がないものは聞きましたが、日本にいるもので >和名がないというのも・・・なんか不思議な感じです。 和名は付けたほうがいいですかね。ガガンボだけでも500種以上名付けないといけないので二の足を踏んでいますが、やはりあったほうが便利でしょうね。皆さんどうお考えですか。 いったん付けた名前はその後しばらくは使われ続けることを考えると、変な名は付けられず、結構苦しいものです。
和名はあったほうが便利とは思いますけどねぇ。いちいち学名で言うのも大変ではないですか?・・・
ひよどり様.
ハナアブ屋の市毛です. ハナアブ科の場合,日本産の9割を越す種類に和名がついていますが,仲間内では学名で呼ぶことが結構あります. 実は,私たちが普段読んでいる文献のほとんど(9割以上)が外国語で書かれているので,和名に触れる機会が殆どありません. したがって,同定会などでラベルを書くとき等に,和名が思い出せずに困ることが良くあります(^_^;) また,ハナアブ科の場合でも,新しく見つかる種類は似通っている場合が多く,外見的な特徴で和名を考えることが困難な場合が多く,毎回難儀しています.(全国に広く分布している種類に地名を付けるのはおかしいですし,人の名前もやたらに使えません.) 私の場合は,人より記憶力が悪いので,普段使わない和名を言われてもわからない時があったりして,意外と和名のほうが不便です. 学名の場合は,○○ △△(属名+種名)という形で使う場合が多いので,種名がわからない場合でも,○○属の仲間であると絞りこめるので便利です.
それもまた驚きです。僕は野鳥から始めたほうなので、和名が主流なので・・・
それなら和名はなくてもよさそうですねぇ。。。
確かに和名で言われても何のことだか咄嗟には分からないって時はありますね。
美しい名前をつけるとその名前使いたくなりますが、何百もいる虫にそれはつらいことなのです。和名を付けたもののセンスが問われることもあります。誰が名付け親か知りませんが、スミナガシとかサビキコリ、カネタタキ、カマドウマなんていい名前ですよ。今更、種名の語幹に「ガガンボ」がつかない名前をガガンボにつけたらひんしゅくを買うでしょうね。ガガンボって濁音が3つもついているから、虫を知らない一般の人にはあまり印象がよろしくないようです。
確かに。
野鳥でも「ヒタキ」と書いているのにツグミ科とか、「ツリスガラ」と書いているのにカラ科ではないなど、違和感を感じるところがあって・・・。 そしてまた、印象がよくないといえば、「アホウドリ」。正式名称なのがかわいそう。。。 和名のネーミングも難しいところがありますね。 その点ではやはり2つ(3つ)の節で名前をつけられる学名も便利ですね。
一段落ついたスレッドを上げて申し訳ありません。
ひよどりさんの写真と達磨さんの「幼虫は木の洞の水たまりにすみ」という解説をみて、以前撮った写真を思い出しました。 写真は2006年4月30日、兵庫県三田市で撮影しました。コナラの洞内に産卵しているガガンボです。水たまりというよりはフレークに産卵しているようでしたが、形態的にも生態的にも一致しているように思えます。 ひよどりさんの写真と同じ種と考えてよろしいでしょうか?
上の書き込みで「この個体は後脚の基部近くに白い部分が一か所あり」としましたが、「この個体は後脚の『脛節の』基部近くに白い部分が一か所あり」とするべきところ、言葉足らずで失礼しました。
ハンマーさんの写真も本種と考えていいと思います。 しかし、日本から記録のある2種のTipulodinaは原記載時にどの特徴も図示されることがなかったので、もっとも特徴的である脚の模様の記載を頼りに同定しています。あまり多くの種が分布しているとは思えないのですが、実際脚の模様で区別できる2種しかいないのかどうか、今後の調査が必要です(雌は産卵するところをよく目にしますが、どういうわけか雄がなかなか得がたい)。本属は東洋区を中心に多くの種が知られていて、日本でも暖かい地方では種の追加が見込まれます。奄美大島と石垣島で本属の個体を得ていますが、雌ばかりなのと、何点かは採集が荒かったために脚が残っておらず、今後追加の材料が集まるのを待っているような状態です。
達磨さん、どうもありがとうございます。
私のような素人にとっては属が分かるだけでもすごいことです。今後もよろしくお願いします。 |
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