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一寸のハエにも五分の大和魂・改
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Empis (Planempis)属の一種 投稿者:Arge 投稿日:2007/05/13(Sun) 18:51:45 No.3459  引用 
お世話になります。

5月3日に兵庫県揖保川河川敷で採集したオドリバエです。
河畔林周辺を交尾しながら飛んでいました。
Empis (Planempis)と思われますが、それ以上は文献未入手でわかりません。

よろしくお願いします。


Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/13(Sun) 23:20:26 No.3461  引用 
写真の種は同定された通りEmpis属Planempis亜属です.これは同亜属のpan groupに属するEmpis (Planempis) latro Frey, 1953の雄です.本種は大阪高槻市産の1雄1雌に基づいて記載されたもので,岡山県中部でも採集されていますので,今回採集された地点はその間に入ります.pan groupの種は西日本で言うと5月の連休頃に成虫が発生し,雄成虫はその頃に発生する大型のBibioを婚姻贈呈用の餌(求愛餌)として捕らえて,それを携えた状態で森林の高い梢に集まり,ここを群飛場所にします.求愛餌が大きいので,雄は長時間は群飛しないで,雌やそれらしいものが近くを飛ぶと一斉に飛び立ってそれを追います.本種は九州から四国にかけて分布するE. (Planempis) panにややにていますが,この種では腹部背板が全面的に黒色で黒毛を生じるのに対して,本種では背板両側は幅広く黄褐色のpollinosityで覆われ,その部分の毛が黄色ですから,簡単に区別できます.中部・信越地方にはまた別の種が生息しています.これら2種は世界最大・最重のオドリバエです.

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:Arge 投稿日:2007/05/14(Mon) 22:32:06 No.3465  引用 
アノニモミイア様

いつもありがとうございます。

今回も市毛さんのNo.2663の写真は見たのですが、交尾器の色や形がちょっと違う気がしてあっさり否定してしまいました。
まだ修行が足りないようです。

まだ少しオドリバエはありますので、今後ともよろしくお願いいたします。

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/15(Tue) 11:28:44 No.3467  引用 
No.3461には説明不足がありました.
Argeさんの採集された兵庫の個体は間違いなくE. latroそのものですが,No.2663の市毛さんの個体についてもっと正確にコメントすべきでした.市毛さんの採集された関東の個体は,脚や翅の色彩からE. latroだろうと書きました.しかし,雄交尾器の尾角突起の側面から見ると末端の瘤状部の上下への膨らみが模式産地の関西のものよりかなり弱くなっています.また左右の尾角突起を背面から見ると,先端に向かって徐々に一様に尖っています.しかし,関西のlatroは瘤状部は強いし,また背面から見ると囲んでいる卵円窓の後縁辺りから側縁が急に細くなっています.

まだ,十分に各地の材料が入っていないので確定的な事はいえませんが,pan群もCalorhamphomyia亜属のformidabilis-praecellens群とおなじような地理的クライン+地理的変異があるようです.クラインは南から北に向かって前記しました雄尾角突起の瘤状部の縮小と背面からみた屈曲の減少(なだらかな側縁),腹部背板の毛の色彩と翅の色彩の淡色化が起り,一方脚の色彩は黒から部分的・そして全面的に黄色化が起ります.しかし,脚の色彩は必ずしも一様なクライン的変化を示していないようです.

ですから,Argeさんが「交尾器の色や形がちょっと違う気がして」と言われたのは詳しく観察された結果でして,これまで記載された種をどのように扱うかは,もっと各地の材料がそろわないとなんともいえない状況です.私の手元の標本では2種が混生するところはありません.

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:ハンマー 投稿日:2007/05/15(Tue) 22:58:41 No.3469  引用 
写真は昨年5月13日に兵庫県三田市で撮影したものです。写真では細かいことはわからないだろうと、ブログに出して放置していたところ、最近これはEmpis (Planempis) latro Freyだと教えていただきました。
この種の名前が出ていたので、便乗させて頂きます。
撮影場所には数十本のカエデが植栽されていて、毎年5月初旬にこの種の群飛が見られます。


Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:ハンマー 投稿日:2007/05/15(Tue) 23:05:38 No.3470  引用 
今年5月3日に上と同じ場所で撮影した群飛の様子です。
アノニモミイア様が書かれている通り、時々一斉に飛び立ちました。私は風の影響だと思っていました。
飛び立つ数は、多いときは100を超えているように私には見えました。
下手な写真ですが、全個体が求愛餌を抱えているのがかろうじてわかると思います。


Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/16(Wed) 03:43:19 No.3471  引用 
ハンマーさん.Dipterophilusとアノニモミィアはシノニムです.Hilaraのことでインターネットでオドリバエを検索すると渓流釣り関係のサイトがたくさんあるとお伝えした後に,私自信もそれを検索しましたら,あなたのブログでHoplocyrtomaやPlanempisの素晴らしい生態写真を拝見して,種名など書き込んだ次第です.E. pan群の種は大型で,求愛餌も大きいし重量感・存在感のある写真がとれるものですね.今回ここでは公表されていませんが,特に飛翔中の個体が求愛餌をもって飛翔している写真はなかなか撮れないものです.海野さんがホームページでおそらくRhamphomyia (Eorhamphomyia) jezoensis Matsumura, 1915 (=sanguis Frey)の交尾飛翔中(Rhamphomyiaの種の大部分の種では交尾は静止して行いますが,本種は例外です)の写真を公表していますが,なかなか飛翔中のものはピントが合いにくくて難しいですね.

ハンマーさんの撮影場所が三田市と分りましたので,撮影された種は確実にEmpis (Planempis) latro Frey キバネオドリバエ(原色昆虫大図鑑第三巻, p.205)です.

それにしても100頭あまりの群飛と言うのは壮観でしょうね.私はpan群についてはこれまでせいぜい20頭ほどの群飛しか観察したことがありません.多数の個体が集まると,相互の干渉で雌がこなくても一時的にもつれ合うように雄が飛び始めることがあります.群飛で飛び続けるのはエネルギーの消耗になるためか,大型の求愛餌の場合には群飛場所で静止したり,あるいは群飛形式をホバリング型にしているようです.またヨーロッパで秋に出現するRhamphomyia (Eorhamphomyia) spinipesでは雌が群飛場所に来てシラカバなどの梢付近に静止しており,雄が求愛餌(中型ミズアブ)をもってこの場所に飛来すると多くの雌が一斉にこれを追って交尾します.このように雌が雄を追っていく種も稀にみられます(Empis (Anacrostichus) cyaneiventris FreyルリハラオドリバエでもAllognostaのような雄にとっては大きい求愛餌を用いる場合は,雄はホバリングしていて,雌がこれに衝突ないし接近すると雌は積極的に雄の前に出て雄を誘導した後に交尾します).E. latroの配偶行動を詳しく観察されるとずいぶん良いデータが取れると思います.

ハンマーさんへお願いです.Hoplocyrtomaを撮影されたカメラとレンズ,撮影条件など教えてください.

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:ハンマー 投稿日:2007/05/17(Thu) 07:17:13 No.3474  引用 
アノニモミイア様、どうもありがとうございます。
>Dipterophilusとアノニモミィアはシノニムです.
あんな写真を見て、種名を言えるような方がweb上に何人もいらっしゃるとは思えないので、ひょっとしたらとは思っていました。
飛翔写真はたくさんいるから撮れるというか、撮る気になるというのが正直なところです。来年はまたじっくりと観察したいと思っています。

写真はブログでHoplocyrtoma japonica Saigusa & Kato, 2002と教えていただいたオドリバエと同じ日(4/1)、同じ場所(兵庫県三田市)で撮った別個体です。逆立ちして餌を食うという習性はとても不思議な気がしました。

カメラは大したものを使っていなくて、書くほどのものではないのですが、E. latroも含めて写真は全てCanonのS2ISというコンデジで撮っています。この写真のような接写の場合は、ズームをテレ端にしてクローズアップレンズNo.5と3を重ねて撮っています。内臓ストロボに手製のリフレクター(?)のようなものを取り付けて、設定はマニュアルで絞りF8、SSは1/250でした。この条件で撮影距離はレンズ前から約8cmでした。

Argeさんの立てられたスレッドなのに、割り込んでしまってすみませんでした。


Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/17(Thu) 14:34:00 No.3475  引用 
ハンマーさん撮影条件についてお知らせ下さって有難うございまいた.参考になりました.

Hoplocyrtomaはなぜこんなに逆立ちするのか不思議です.これに近縁のBicellaria属がありますが,これはやや小形で,一般に黒っぽく,後脚が正常で腿節が肥大していません.早春に雑木林に出る種と,今頃から出る種がありますし,中部地方の高山では7月頃に別の種もでます.これらがどんな姿勢で摂食するか注意して見たことがありません.なお,Hoplocyrtomaは北米に2種知られていまして,その他では日本だけに数種いて,そのうちの西日本の平地ー低山地に比較的多い(場所は意外と局所的ですが)のが撮影された種です.

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:平群庵 投稿日:2007/05/20(Sun) 00:16:24 No.3482  引用 
割り込み失礼します。
ネット上での絵合わせができなくてそのままにしていたものですが、これもキバネオドリバエでしょうか。
[ No.3459 ]の写真とは口吻の長さが違うようですが伸びるものなのでしょうか。
体長14mmの大きなものでした。
2007年4月下旬、奈良県平群町で撮影


Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/20(Sun) 01:36:31 No.3483  引用 
平群庵さんの雌の写真は形態,色彩およびサイズから判断してキバネオドリバエの雌と同定できます.口吻の長さを気にされているようですが,Empis属などでは口吻を構成する上唇(labrum)は骨化していますので長さは変化しませんが,上唇を包み込むようになっている下唇の場合は,下唇基部から唇弁(laberum)の根元までの部分の膜状部が死後には伸びてその結果下唇全体がしばしば伸長することがあり,そのために,口吻が全体的に長く見えることになります.ですからNo. 3459の標本の雄はこのようにして下唇が伸長したものと思いますので,今回の生時のものより長く見える例でしょう.

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:平群庵 投稿日:2007/05/20(Sun) 18:21:56 No.3484  引用 
アノニモミイア様、ありがとうございます。
フタオレメバエというのが折りたたみ式の口吻を持つあったので、このオドリバエもなにか伸びる仕掛けを持っているのかなと思ったのですが、伸びてしまう理由を読んで「へぇ〜」×80です。
ところで、キバネオドリバエをネットで調べていて気が付いたのですが、
Empis latro で検索すると和名がギンバネオドリバエとなっているサイトがあります。単なる入力ミスだと思いますが、それが「みんなで作る双翅目Web図鑑」だったのでお知らせしておきます。

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:ハエ男 投稿日:2007/05/20(Sun) 20:03:52 No.3485  引用 
Empis latro の和名については九大の昆虫学名和名辞書の中ではギンバネオドリバエとなっています。(つまり九大目録でもそうなってると思われます。)

一応、あのデータは市毛さんが九大目録を参照して作られたのでそうなっていると思われます。

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/21(Mon) 02:08:45 No.3486  引用 
これまで気付きませんでしたが,九大目録では確かにギンバネオドリバエとなっています.原稿作製段階の入力ミスでは.本種の和名キバネオドリバエは北隆館の原色昆虫大図鑑ではじめて伊藤修四郎先生が命名されたものだと理解しています.以降この名称が変更された例を見ませんので,ギンバネは元に戻して,キバネとすべきでしょう.キンバネであっても実態に則しませんし,ましてやギンバネでは全く異なります.Web図鑑の方も変更した方がいいと思います.

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