平群庵様、御無沙汰しております。
ハナアブを見るときに、斑紋に目が行きがちですが、他の形質も見ましょう。
1)横顔に注目して見てください。通常、Asarkina(ナガヒラタアブ属)は顔の下半部が突出します。
2)胸背の側縁も黄色い毛が生えているだけです。Asarkina(ナガヒラタアブ属)の胸背の側縁は狭く黄色になります。
3)翅脈もR4+5の曲がり具合がAsarkinaとは違うと思います。
4)胸背にスジ状の模様が見えます。これも違うのでは? 逆にこのスジが出るグループを探してみましょう。
このあたりも含めて、次のシリーズの検索をどのように作るべきか、考えなくてはならないですね。
ついでに、平群庵昆虫写真館を見てみました(がさ入れ?)
Syrphus属3種については、頭部・腿節共にうまく写っていないので判定は難しいです。この属は頭部のドアップと各腿節・後脚脛節が写っていないとわかりません。
キベリヒラタアブとしていたのは、トゲヒラタアブのオスです。(体の幅の広さに気をつけましょう。)
写真判定だと良くある間違いです。
市毛様
充電中のところ雑兵の相手をしていただき恐縮です。
>ハナアブを見るときに、斑紋に目が行きがちですが、他の形質も見ましょう。
他の形質を比べてみました。確かにこのアブは鼻が低いです。(ぼやき:俺とイギリス人ぐらいの違い、どちらもホモ・サピエンスじゃないか)
胸背の側縁、写真だけだとわかりにくいです。(実物を手にしたことがありません。やはり捕まえないと細かいところは判らないですね)
翅脈、R4+5と言われましても、どこに載っていたかなあと絵本をひもといて、この筋のことか、なるほど曲がりがあまりない、手相より難しいなあ。といったあんばいです。
で、あれこれ比較して、ヨコジマオオヒラタアブが似ているかな、になりましたがこのアブは色が薄いです。また腹の裏側に黒いところが見えません。
やはりギブアップです! 教えて下さい。
>ついでに、平群庵昆虫写真館を見てみました(がさ入れ?)
平群の片隅でひっそりと侘び住まいを装っていたのですが見つかってしまい、突然の家宅捜索を受けました。官憲の厳しい捜査で摘発されたのが1件だけだったのは幸運でした。
アブ先生、ハエ先生、このサイトは素人にとっては駆け込み寺です。今後とも宜しくお願いします。
平群庵様。
写真だけではわからないと言われていますが、3方向も撮ってあると色々気がつくところがあると思います。偶には一緒に推理してみようと思いました(ハナアブ以外のハエは殆どダメですね)
写真ではやや幅広に見えていますが、オビヒラタアブの1種と思われます。学名はありません。
現在このグループも調べているのですが、黄色地の種類が9種類記録され、他に1種未記載種が知られているようです。この写真は、この未記載種に該当します。同じような斑紋で、顔に黒いスジがあるのがササヤマオビヒラタアブになります。
その他に、黒地の種類は4種類記録され、他に4種以上の未記載種が分布しております。
何で素人の私が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・再検討しなアカンのや!
これが日本の博物学のお寒い現状。
博物館では「針が買えない」「標本箱が買えない」「直翅類図鑑買うのに2年分?の図書の購入費が必要」「調べて貰いたいけど送るお金が無い」と予算が無くてぼやいてるし。
やはり、身代をつぶす覚悟で取り組まないとアカンのか、蔵はあるけど金は無い。
失礼しましたm(__)m
市毛様
へんてこなアブ張り付けてしまいました。尋ねやすいか尋ねにくいかの印がアブには付いてなかったものですから。
>キレそー
慰めてよいのやら励ましてよいのやら判りませんが、最近、図書館で最新訳のファーブル昆虫記を借りて読みました。
フンコロガシの章で、道端でホッカホカの馬糞を見つけて大喜びしたり、馬糞を集めるために奔走した話が載っていました。又、田舎道で農作業に出かける女性達に出会ったときの話では、夕方近く彼女たちが仕事を終えて帰ってきたときもファーブルは朝と同じ場所で一点を凝視してうずくまっていたので、女達の一人が頭に指を当てて「おかわいそうに」と言ったそうです。
彼は虫の真実に光を当てるために人格をも犠牲にしました。
市毛様も大変なことに関わっているのですね。針や標本箱の値上げもブログで読ませていただきました。
どうか切れないで下さい。
有り難うございました。
平群庵様。
毎晩、難問に突き当たっていると愚痴っぽくなってしまいました(^_^;)
田舎で孤立して研究していると、愚痴る相手がいないので(-_-;)
先日の同定依頼品の中に、移入種と奇形と思われる見たことの無いハナアブが入っていて連日悩んでいます。
属の定義。種の定義。直感的安易な分類をしていると、難問にぶつかったときに基本が判っていないとつくづく思い知らされます。
特に旧北区(ヨーロッパ〜日本)や新北区(北米)以外のハナアブは情報が少なく、属すらも良くわかりません。
また、わかったつもりで扱っていた種類も、斑紋変異と思われる個体が出ると、外形的な特徴が少ない種類だと交尾器に頼るしかありませんが、交尾器自体の個体変異の範囲がわかっていないのです。
そろそろ寝るべ・・・・・・・・・・
平群庵様、市毛様、こんにちは。
Epistropheネタに便乗させてください。
この画像の個体は、横浜市内で1994年10月上旬に採集されたものです。話題のものとよく似ています。
採集当時は情報がなく、アイノオビに似ているけど少し違うやつ、ってことで同定できないでおりました。札幌の昆虫にササヤマオビとシバカワオビの区別点が載りましたが、該当しません。極東ロシアのハナアブ検索でもすっきり行き着くものがないので迷宮入りかと思っておりました。
これも話題の未記載種でよろしいでしょうか?
pakenya様。
オビヒラタアブ類はまだまだ未解明のようです。「は」ではなく「も」ですね。
再検討を始めると、どのグループを調べても泥沼状態ですね。
韓国では、外形で区別すると30-35種程いるとの話がありますので、日本も相当数の未記載種等がいるのでしょう。
Epistorpheを含んだSyrphiniは、交尾器の透過しないと見えない部分が結構特徴の出る場所ですので、検討が面倒です。(これも、交尾器で分けて、キーになる外部形態を見つければ実体顕微鏡レベルで調べられるようになるでしょう。)
市毛様。
「も」ですか!とりあえずこの標本はE. sp.としておきます。
身近に生息する種が落とせないのは寂しいですね。
韓国では30種ほど?すっげー。
Insecta Coreana22, Diptera(Syrphidae).Han et Choi(2000)にはEpistropheは2種;オオショクガバエとツヤムネが載っているだけですから、すごい種数の追加がありそうなんですね。
日本も負けてはいられないですね。
がんばって標本を集めなくっちゃ。
ではまた。
ちょっと別件でEpistropheを調べています。
腹部が黒色の種類で、これがEpis. angustifasciataと思える個体がこの写真なのですが、同様な特徴を持つオスが見つかりません。
腹部斑紋は背板長の1/5程度で、胸背は青い光沢を持っています。
ついでに、手元にあるEpistropheの黒色グループです。
必要があって手元の標本を適当にSortしてみただけですので、重複している種類もあると思います。撮影も適当です(^_^;)
意外と、Epistrophe属として良いか悩むものもあります。
やはり、東洋区的な種類が混じるのですかね。
市毛様
Epis. angustifasciataホソオビヒラタアブと判断したオス個体をひとつ持っています。1993年秋の新潟の標本で、三角紙に包んで乾燥させてありましたので、現在軟化中です。仕上がったら画像を出したいと思います。
Epis. griseofasciataノラと思っているメスも2個体あるのですが、これより一回り小さく、翅の第2基室と肘室は半分以上が無毛です。
ところで、Epistrophe属にも複眼に毛を持つ種があるのでしょうか。大石さんの検索表でも極東ロシアの検索でも、複眼に毛を持つと別属になってしまいます。
pakenya様。
日本周辺では、複眼が有毛の種類も多いです。
極東ロシアのキーでは、1=>4=>5=>7=>11=>12=>15=>18=>20=>22=>27=>34=>35=>36=>
行けませんね(^_^;)
Thompson&Rotheray(1998)では、
8=>9=>10=>14=>19=>20=>22=>30=>33=>34=>37=>38=>39=>40=>41=>41 Epistrophe(Epistrophe)
と行きます。このキーも一部問題があるそうです。
やはり、日本はヨーロッパから見たら東洋苦難ですかね・・・東洋区なんですかね。誤変換で出て来た「東洋苦難」ズバリ東洋の分類の難しさを表していますね(^_^;)
Syrphiniで悩んだときは、Vockeroth(1969)のA Revision of the Genera of The Syrphiniが良いかもしれません。(1箇所怪しいところがありますけど、世界を相手にしたキーが載っています)
大石(1996-2000)の検索も大分古くなりました。画を書いてくれる人がいるなら、改訂しても良いと思っているのですが、何分にも実働部隊のマンパワーが不足しています。