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一寸のハエにも五分の大和魂・改
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Mallotaを教えてください 投稿者: 投稿日:2006/09/11(Mon) 15:39 No.2672  引用 
こんにちは

北海道の当麻町で採集した「ミケハラブト」です。複眼が有毛で合眼的、後脛節がほどほどにカーブしているので、札幌の昆虫のニッポンミケハラブトM.japonicaに該当すると判断しているのですが、Mallotaの事情がなんだかよく判りません。

過去ログに、市毛さんがきちんと交尾器で確認せよと忠告なされておるのですが、ここで示されたM.yakushimanaの画像以外に参考資料がありません。文字情報としては、はなあぶ14号の「京都のハナアブ」の中で大石さんがM.yakushimanaのゲニは黒くて先端に向かって狭まり、M.mundaは褐色で先端に向かって狭まらないと解説しています。


Re: Mallotaを教えてください 投稿者: 投稿日:2006/09/11(Mon) 15:43 No.2673  引用 
順序が違いますが話の流れからゲニを出します。

真っ黒で、先に行くほど細くなっている様に見えます。
市毛さんが以前(1318)示されたものより黒くて長いです。
ただ、このときの質問者Aclerisさんの写真と私の標本とは相似形に見えます。悩みます。


Re: Mallotaを教えてください 投稿者: 投稿日:2006/09/11(Mon) 15:52 No.2674  引用 
顔写真です。
正面より横顔の方が起伏が見やすいでしょうか。

市毛さんのHPのクロオビハラブトM.ambiguaは、はなあぶ13号の「茨城県産ハナアブ分布資料」でツマキハラブトM.shirakiiとして発表されたものであろうと想像します。M.shiraliiは、はなあぶ20号の「アシボソミケハラブトハナアブの・・2世代の色彩比較」でアシボソM.mundaに含まれることが示唆されたので、同一種なのでしょうか。

さて、クロオビ、ニッポン(ニセクロオビ)、アシボソの区別点はいかに・・・

解説をお願いできませんでしょうか。


Re: Mallotaを教えてください 投稿者: 投稿日:2006/09/11(Mon) 20:04 No.2675  引用 
pakenya様、御迷惑おかけしております。

>M.shiraliiは、はなあぶ20号の「アシボソミケハラブトハナアブの・・2世代の色彩比較」でアシボソM.mundaに含まれることが示唆されたので、同一種なのでしょうか。

桂氏は、ミケ型のメスからツマキ型が生まれたと多型現象について記しているのであって、交尾器的には2つは全く別種です。

続く・・・

Re: Mallotaを教えてください 投稿者: 投稿日:2006/09/11(Mon) 21:46 No.2677  引用 
pakenya様。

>真っ黒で、先に行くほど細くなっている様に見えます。
市毛さんが以前(1318)示されたものより黒くて長いです

以前写真で紹介したのは、KOHと乳酸で透過処理した液浸の交尾器(hypandrium)です。乾燥標本では暗赤褐色〜黒色です。

ここで問題になるのが、
・M. rubripesとM. japonicaがメスで記載されているため、オスとの関係が明らかでないこと。
・素木がImatisma属として記載した3種は、Paratype標本のhypandriumを見るとほぼ同形であるが、顔の輪郭が若干異なる。3種を1種にまとめようとしたが、3種中2種までもが2個体しか見ていない現状では、顔の輪郭等の違いについて説明しきれるだけの自身がありませんでした。
なお、shirakiiやambiguaに該当するオスの採集例は無いようです。詳細な検討のためには、不透明なhypandriumを壊してphallus(aedeagus)を見る必要があると思われる。

と、言うことで自己責任で同定して下さい。

続く・・・・・

Re: Mallotaを教えてください 投稿者: 投稿日:2006/09/12(Tue) 15:27 No.2681  引用 
茨城@市毛様

いつも解説をありがとうございます。
以前紹介していただいたゲニは、やはり透過処理されていたのですね。色彩の件は納得です。

>と、言うことで自己責任で同定して下さい。
ギャボ!・・駆け出しのアマチュアには・・・
自分で同定できるようになりたいです。
そのためにはShiraki(1968)を読んで理解する(間違いを認識して)必要があるんですよね。
趣味の世界からは逸脱することになりそうですね。

母校の図書館にあるようなので、まずはShiraki(1968)の入手から始めようと思います。

市毛さんの「続く・・」にも期待してます!

Re: Mallotaを教えてください 投稿者: 投稿日:2006/09/14(Thu) 07:17 No.2685  引用 
pakenya様。

Mallotaのミケ型のハナアブは、解釈が厄介です。

一番の問題は、素木(1930)でM. japonicaがM. tricolor(当時はPseudomallota)のシノニムと処置されていることです。このシノニム処置のままFauna Japonicaが書かれたので、M. japonicaと区別が困難な種類がImatisima属として新種記載されているのです。
 タイプを見ればよいのですが、私が北大に行った時は見つかりませんでした。7月に北大のH氏に会ったときにタイプを見たとの話があったので、次回探してきます。

したがって、このシノニム処置を認めるかどうかで学名が変わる点を自分で判断して欲しいということを、自己責任でという表現で書いたのです。

私も専門家ではないので恐縮ですが、属の範囲や種の範囲は最終的には同定する各自が判断すべきことのようです。
従って、私の書いている報文は、研究史やタイプ標本についての情報・参考文献を列記し、各自が判断するために必要な情報を極力提供するようにしております。

P.S. タイプ標本を見るには、指導教官の紹介か研究業績の提示を求められるので、アマチュアには敷居がかなり高いです(^_^;)

・・・続く

Re: Mallotaを教えてください 投稿者: 投稿日:2006/09/14(Thu) 10:38 No.2686  引用 
茨城@市毛様

解説をありがとうございます。また、DMで素木の文献集を提供していただきました。たいへんありがとうございます。以前、各文献をペデフ化していることが話題になっておりましたが、Fauna Japonicaのように分厚いものまでなされていたとは・・
重ね重ねありがとうございます。

マルハナバチ擬態のMallotaが厄介なことは「日本のハナアブ」などでも記述されていますが、おそらくは3種程度であって、オオマルハナバチに擬態したものがミケ、クロマルハナバチに擬態したものがクロオビ型、中間型がツマキ型として別々に記載されているのであろうと想像していました。で、これらは交尾器を見れば確実と市毛さんが以前書き込んでいらっしゃるので、その写真を出せばすぐに判るのかな?と思っていたのです。

提供していただいたFauna Japonicaの記述を読んでみたところ、意外にも交尾器の記述は極めて貧弱で、同定のkeyには使えないんですね。

M.japonicaとM.tricolorは確実に別種でしょうから素木(1930)のシノニム処理は間違っていると考えます。問題は、M.japonicaのオスが正確に把握されていないことですよね。枝重の図鑑(北隆館)もtricolorの所で雌雄で別の種を記述していて、メスがjaponicaらしいことが分かります。「札幌の昆虫」の木野田さんはどこで区別しているのか知りたいところです。

今後は交尾器の情報が非常に重要であることがわかりました。
写真は、福島県桧枝岐村産のM.tricolorトゲミケの交尾器です。Surstylusの腹面側基部に切れ込みがあるのが特徴的です。


Re: Mallotaを教えてください 投稿者: 投稿日:2006/09/15(Fri) 15:37 No.2687  引用 
pakenya様。

非常にM.tricolorに近い交尾器ですが、M.inopinataと中間的な特徴を持っています。

その福島県檜枝岐産のトゲミケモドキ?は、複眼が無毛で、後腿節が非常に太く、後転節にトゲ状の毛の束はありますか? 私は、この3点セットでM.tricolorか確認しています。

標準的なM.tricolorのEpandriumの写真をUPします。


Re: Mallotaを教えてください 投稿者: 投稿日:2006/09/15(Fri) 15:40 No.2688  引用 
休憩時間が終わりそうなので、連続投稿規制がまどろっこしい!!

pakenya様の写真に近いEpandriumの図をサーバーから取ってきました。

原文(ロシア語)は今の仕事が終わらないと辛いかも・・
昔訳したのを探してみます。


Re: Mallotaを教えてください 投稿者: 投稿日:2006/09/15(Fri) 15:47 No.2689  引用 
おまけのmundaとjaponica sense Violovitshの交尾器です。

2枚とも
Violovitsh, 1978. Redescription of the genus Mallota Meigen. 1822 Siberian fauna
からの転載です。

時間切れだー・・・


Re: Mallotaを教えてください 投稿者: 投稿日:2006/09/15(Fri) 16:52 No.2693  引用 
茨城@市毛様

ちょっと、衝撃を受けております。
M.tricolorでないとは疑っておりませんでしたので・・

No.2686の個体の複眼は全く無毛で、複眼はわずかに離眼的です。後腿節の最大幅は長さの1/4と太く黒色長毛に覆われています。しかし、転節には長毛はあれど、棘状の毛の束は見当たりません。

M.inopinataのEpandriumは、確かにとてもよく似ていますね。Surstylusの他、その下方に見えるtheca(でしょうか)の形状も同じに見えます。その他の記載に合致しているのであれば、この種と同定できると思います。


Re: Mallotaを教えてください 投稿者: 投稿日:2006/09/15(Fri) 16:57 No.2694  引用 
後脚の写真もUPします。

トゲミケモドキ(?)は、これまで聞いたことがありませんでした。
結構、貴重な採集品になるのでしょうか?

Mallotaも、相当に奥が深そうですね。


Re: Mallotaを教えてください 投稿者: 投稿日:2006/09/15(Fri) 19:42 No.2695  引用 
pakenya様。

そりゃ聞いたこと無いでしょう。さっき仮名をつけたばかりなのだから・・・・・・・・・・

M.tricolorの後転節の毛の束は、角度によって見えたり見えなかったりします。ベストな角度での写真をupします。

帰宅したところで、京都の大石氏に捕まり、今からCheilosiaのタイプ標本の再検討なので、しばし中断。

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