交尾器です。
Saigusa(1963)のRh.(M.) pilosifaciesの交尾器に似ていますが、交尾器下部のHypandrium?(第8腹板)が図のようには細長く伸びていません。
(勉強不足なため交尾器形状が変わると、相同性が良くわかりません。Rh. deformicaudaなどもすごい形をしていますが、図に名称が書き込まれているので助かります。)
写真の標本はRhamphomyia (Megacyttarus) brunneostriata Frey, 1950の雄です.この個体はFrey(1953)がvar. monstrosa Freyとして記載したもので,中脚第二付小節が著しく肥大する点で,正常型(一般型)と区別できます.両型は共存します.
R. brunneostriataは顔面が有毛,雄の第8腹節腹板が光沢がある1群に属し,これにはR. pilosifacies Saigusa, 1963と R. trimaculata Saigusa, 1963が日本産の既知種では所属します.
R. brunneostriataは雄の中脚第1付小節が著しく短い点,雌の中央室が翅縁近くまで拡大し,その横脈が内側に弱く屈曲し,翅に顕著な暗斑を欠くことで,上記2種から容易に識別可能です.しかし,R, brunneostriataには地域によって雄中脚付節の変形が軽微な状態になる地理的集団があり,種分化の途上にあるようです.
R.brunneostriataは地域によりますが,3月下旬から5月上旬に成虫が発生し,水辺や近くの路上の2−4mくらいの空間で水平ジグザグ飛翔を2m位してから直線的に戻るという群飛飛翔を繰り返します.カエデなどの花にも飛来・吸蜜します.またMegacyttarus亜属の多くの種の雄はHilara属と同様に水面を水上飛行機のように滑走型飛翔を行って,水面の落下昆虫を捕らえて,雌への婚姻贈呈餌にします.交尾対は群飛のやや下で飛翔しながら交尾を続けます.
Rhamphomyia属は日本列島だけでも約300種分布しており,北半球には恐らく1500種くらいはいると思われます.亜属の分類はユーラシアのものではCalorhamphomyia, Orientomyia, Megacyttarus, Dasyrhamphomyia,Ctenempis,Aclonempis,Rhamphomyia(Collinariaを含む)等の単系統群は明確な派生形質を持っていますが,Eorhamphomyia, Pararhamphomyiaのような混成群があり,亜属の分類を著しく困難にしています.北米のものが入ると更に錯綜します.
写真撮影のノウハウについてご教示戴き有難うございました.デジカメ高級機種を考えていまして,大変参考になりました.