46952885
一寸のハエにも五分の大和魂・改
[トップに戻る] [通常表示] [アルバム] [留意事項] [ワード検索] [過去ログ] [旧過去ログ] [管理用]
1: 小笠原の海のユスリカ? (3) / 2: ショウジョウバエの同定について (0) / 3: ヤドリバエ科Peleteria属 (6) / 4: Bicellaria早春のヒメセダカオドリバエ? (3) / 5: ヒコサンアリヅカノミバエAenigmatias gotoi Disneyでしょうか? (3) / 6: ムシヒキアブでしょうか? (7) / 7: ハネオレバエ(ハネオレホソバエ)でしょうか?? (1) / 8: ハネナガケブカミバエでしょうか? (6) / 9: ハナレメイエバエ科でよいでしょうか? (0) / 10: ハネフリバエ (2) / 11: 砂浜の、ConchopusとPlatypulpus (4) / 12: Elaphropezaケズネクサハシリバエでしょうか? (3) / 13: Conchopus saigusaiゲンカイシグマクチナガイソアシナガバエですか? (6) / 14: オドリバエ科の何かでしょうか?? (1) / 15: オドリバエ科のDolichocephala属でしょうか?? (2) / 16: オドリバエ科の何かでしょうか?? (2) / 17: シダコバエAnthomzidaeでしょうか? (3) / 18: 名前がわかりません (2) / 19: くりのけらClinoceraでしょうか? (0) / 20: ネジレオバエでしょうか?? (2) /


[ 指定コメント (No.2619) の関連スレッドを表示しています。 ]

Rhamphomyia属の1種 投稿者: 投稿日:2006/08/27(Sun) 13:55 No.2618  引用 
再びオドリバエです。

写真の種類は、Rhamphomyia属の1種です。恐らくCalorhamphomyia亜属ではないかと思います。

体長約10mm。7月末に茨城県の標高1000mのブナ帯で採集しました。

極東の昆虫の検索Empididaeで調べると、Rh.(C.) nipponensis Freyに辿り着きましたが如何でしょうか?


Re: Rhamphomyia属の1種 投稿者: 投稿日:2006/08/27(Sun) 13:57 No.2619  引用 
腹部末端の拡大です。

Re: Rhamphomyia属の1種 投稿者: 投稿日:2006/08/27(Sun) 19:11 No.2620  引用 
先ほど、「馬場博士採集の新潟県のオドリバエ科」を思い出し調べてみました。

この文献の検索で調べると、
・前脚基付節の下面には10本程度の剛毛が混じる。
・後腿節のav剛毛(anteroventral)は長く、全体に亘って粗生する。(剛毛は途中からほぼ腹面中央側に列がずれてくる。)
・オス交尾器(aedeagus)はほぼP.194図3のように第1湾曲が強く角張っている。

このような特徴を持っているので、写真の種はRh.(C.) flavobasalis Freyとなるのでしょうか?

Re: Rhamphomyia属の1種 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2006/08/27(Sun) 21:49 No.2621  引用 
検索されたとおり,写真の種はRhamphomyia (Calorhamphomyia) flavobasalis Frey,1951のオスです.本種は東北各県と群馬,新潟の標本を検しています.しかし,茨城県のものは初めてみました.主に産地ブナ帯で6月を中心として成虫が出現する普通種です.R. nipponensisは大阪,京都など近畿地方北部に分布する種で,今回のものとは別の種です.
Calorhamphomyia亜属は未記載種を含めて日本列島に役45種生息し,主に本州のブナ帯を主要生息地としていますが,少数の種は瀬戸内の低地(R, itoi)や中部山岳の高地(R. pretiosa)に進出する種もあります.北海道は3種,九州は10種未満です.極東からは日本列島のみ(北海道から九州本島と対馬)で,ずっと飛んで北米頭部のアパラチア山脈からその北縁のカナダにまた役40種が生息しているもので,典型的な東亜・北米東部型の分布を示す昆虫群です.

Re: Rhamphomyia属の1種 投稿者: 投稿日:2006/08/27(Sun) 22:40 No.2622  引用 
アノニモミイア様、早速の回答ありがとうございます。

連続で申し訳ないのですが、この写真のRhamphomyia属の1種はRhamphomyia(Orientomyia) spirifera Freyで良いのでしょうか? Ito&Saigusa(1967)A revision of the Japanese species of the Subgenus Orientomyia Saigusaの交尾器の図とはほぼ合致します。

よろしく御願い致します。


Re: Rhamphomyia属の1種 投稿者: 投稿日:2006/08/27(Sun) 22:46 No.2623  引用 
交尾器付近の拡大です。

採集地は茨城県北部の標高約600mのブナ林で、6月下旬の採集です。

同地では、現在森林総研九州に在籍する末吉氏が報告書をまとめております。
・末吉昌宏他(2003)皆伐後の温帯落葉樹林の二次遷移に伴う双翅目昆虫群集の変化 http://ss.ffpri.affrc.go.jp/labs/kanko/388-4.pdf#search=%22%E6%9C%AB%E5%90%89%20%E5%8C%97%E8%8C%A8%E5%9F%8E%22


Re: Rhamphomyia属の1種 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2006/08/28(Mon) 15:11 No.2624  引用 
あなたが同定されたようにRhamphomyia (Orientomyia) spirifera Freyの雄です.本種は本州中部から九州までの低山地ないし山地に生息していて,個体数はあまり多くはありません.その結果,群飛や捕食性の観察もほとんど行われていません.
Orientomyia亜属は日本列島から台湾,中国中部にかけて分布しており,Calorhamphomyia亜属に比べるとどちらかといえば暖温帯性のRhamphomyiaです.北米やヨーロッパには分布していません.日本には既知種のほかに,6種の未記載種が生息しています.交尾したペアはHilara属の大部分の種やRhamphomyia属Megacyttarus亜属のように,交尾中ずっと空中を飛翔する性質があります.低い位置で飛翔中のペアが発見された場合は近くの上空で群飛が観察されます.

Re: Rhamphomyia属の1種 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2006/08/28(Mon) 16:18 No.2625  引用 
かなり精緻な写真です.これらの写真を撮影されたカメラの機種,撮影方法(光源,使用レンズ,接写方法など)について教えてください.

Re: Rhamphomyia属の1種 投稿者: 投稿日:2006/08/28(Mon) 23:19 No.2626  引用 
アノニモミイア様、毎回詳しい説明ありがとうございます。

ますますオドリバエが面白くなってきました。

オドリバエの写真は、ズーム付きデジカメ(Panasonic DMC-FZ7)に実体顕微鏡の対物レンズ(Leica 1.0X Planapo)とリングライト照明を取り付けたカメラで撮影しております。
デジカメをマニュアルフォーカスに設定しておき、顕微鏡スタンドを上下させて微妙にピントの違う10-15枚の写真を撮影します。
撮影した写真をHeliconFocusで自動的に合成処理をしています。http://heliconfilter.com/pages/index.php?id=509

今後ともよろしく御願い致します。

処理 記事No 暗証キー

- Joyful Note -
- Antispam Version -