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一寸のハエにも五分の大和魂・改
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ルリハラオドリバエ? 投稿者: 投稿日:2006/07/31(Mon) 21:35 No.2550  引用 
引き続き、オドリバエ科の質問です。

Empis(Anacrostichus) cyaneiventris Freyか、その近縁種と思われますが如何でしょうか?

体長4.5mm 4月下旬に茨城県北部(alt. 350m)での採集です。

本亜属は、日本産昆虫目録には2種しか収録されていませんが、極東の昆虫の検索のEmpididaeを見ると、13種も収録されているので未記録種が多数いるのではと考えております。

よろしく御願い致します。



Re: ルリハラオドリバエ? 投稿者: 投稿日:2006/08/04(Fri) 21:37 No.2564  引用 
前述の標本の胸背の状態が悪いので、別の標本をupします。

札幌近郊の中山峠付近で採集したルリハラオドリバエの1種です。前の写真と同種かと思われます。

Key to the insects of Russian Far Eastに収録されているEmpididaeのKeyで検索すると、E.(A.) claricolor Freyと思われますが如何でしょうか?

写真で見えない特長としては、胸背にはacを欠き、dcは1列。複眼は明らかに離眼的。Halterは淡色で、基部が褐色を帯びる。胸背から腹部にかけての剛毛は暗色で、一部淡色毛が混じります。


Re: ルリハラオドリバエ? 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2006/08/05(Sat) 03:06 No.2566  引用 
Empis属Anacrostichus亜属に該当する種は日本列島に15種内外分布しています.中には極東ロシアと共通種もあります.本亜属はacrostichalsを欠如することを主要な特徴にしていますが,いくつかの系統が混在している可能性があります.上記のうち10種ほどは日本産ではclaricolor-cyaneiventris群に属するものです.茨城と札幌のものはこれらの中でもご指摘の通りclaricolorに含みうるものですが,これにもやや地理的変異があり,北海道と本州中部のもおはある程度の差がみつかります.ですから厳密にはclaricolorは本州のものに当てるべきでしょう.cyaneiventrisというのは雄の腹部が濃藍色の金属光沢のある種で,これには少なくともほかに2種あります.真のcyaneiventrisは雄交尾器が腹端よりやや前方の腹面に位置するので,腹端は丸みをおびて,そこには交尾器が下方に突出していません.近畿から九州にかけて普通の種です.claricolorを含めてこれらの種の識別には雌の翅の色彩もかなりよい区別点になります.
なお,cyaneiventrisの配偶行動については,1974年の朝日=ラルース週刊世界動物百科No. 169の169ページ(偶然号数と同じですね)に紹介されています.

Re: ルリハラオドリバエ? 投稿者: 投稿日:2006/08/08(Tue) 22:44 No.2577  引用 
アノニモミイア様、詳細な解説ありがとうございます。

色々な双翅目を調べて見たいと思いながらも、身近に詳しい人がいなかったので、非常に感謝しております。今後もよろしく御願い致します。

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