Kuwakiraさん。画像の幼虫はお調べになった通り、間違いなくクチキカ科Axymyiidaeの幼虫です。本科の幼虫は谷川等の近くで、しばしば水がかかるような湿潤な朽木に穿孔して生活しています。口器に朽木を摩砕する構造が見られないので、坑道内の有機物や微生物を摂食しているのではという推定がされています。坑道の断面が楕円形ですので、これも本科の幼虫を確認する上で一つの目安になります。樹皮の付いた朽木には通常生息していません。
日本列島には既知種Protaxymyia japonica (Ishida)の他に2属5種の未記載種が生息しています。四国では上記P. japonica だけが採集されていますので、あるいは画像の幼虫は本種かもしれません。
クチキカの雌は適当な朽木に集中的に産卵しますので、多分観察された朽木には他にも幼虫がいると思います。そろそろ蛹化の時期ですので、蛹を採集して、チシューを湿らせた容器に入れておくと羽化します。3,4日で体が硬化して本来の体色になります。
蛹の頭部は茶褐色に骨化して、表面が平坦で円形、1対の呼吸突起を生じています。蛹はこの頭部をあたかも坑道の栓のようにしています。羽化は蛹の前半身を孔から出すので、羽化の確認ができます。なお、頭部以外は大変軟弱ですので、坑道から掘り出すときには細心の注意が必要です。キマダラガガンボの蛹も鬼の角のような突起があって一見クチキカの蛹に似ています。これも朽木に生息しています。