メスの腹端部ですが,死んだ後で自然にこの状態になりました.
以前に紹介された文献,Sun, X. and S.A. Marshall. 2003. を見てみました.
図が多いと検索表よりも先に絵合わせがしたくなります.
細くとがっているのは第7腹板と第8腹板だそうです.
掲載されている中では,231ページのPhasia albopunctata が似ていると思います.
オスの頭部の図よりも手元のメスの標本のほうが額幅がわずかに狭いので,あれっと思いましたが,
記述でも,オスの眼は単眼の幅ほど離れるのに対して,メスではほぼ接するそうで,普通の感覚とは逆なので面白いと思いました.
日本昆虫目録で他の属から移動してきたものについてはどんな特徴があるのか調べられていません.
近辺では個体数が少ない種だと思いますが,今度はオスを採ってみたいです.
疑問が残るのは,63ページの検索表の35番で腹端部について述べている所ですが,
「Ovipositor (segment VIII) much shorter than sternite VIII」
という記述がよく理解できないのです.
そこで分岐するP. grazynaeは図がないのですが,
その記述は簡潔で,見ると,albopunctataに類似し,違いは問題の腹端部の相対的な長さだとあります.
「and females differ in relative lengths of ovipositor and sternite VII.」
もしかしたら検索表は本来は,sterniteのVIIIとVIIを比べるはずだったのだろうかと思ってしまいます.
そうだとしたら手元の標本はsterniteVIIIが長いgrazynaeの可能性もあると思います.
Character Matrixも形質の内容が書かれていないと思うのでそれで比べることもできないです.
何か勘違いをしているかもしれませんが,よく分からないのでcf.にしてあります.
大宮様.
恐らく,大宮さんの推測通りP. albopunctataと思われます.
原記載の付図を見ると,P. grazynaeのovipositorはsheathを超える位置で軽く波曲しています.また,顔も触角直下が窪んでいます.
couplet 35の検索についても,推測通りovipositor(segment VIII)とsheath(Sternite VII)の長さを比較しているようです.
Phasiaの尾端の用語は,Herting(1957)を読まないとはっきりしません.
茨城@市毛様
原記載を調べて下さりありがとうございます.
手元の標本との違いが分かりました.
cf.を外せそうです.
検索表の表記についても謎がひとつ解けました.
Herting(1957)はドイツ語の形態学の文献ですね.
ネット上で40ドルほどで購入できるようです.
現段階ではそういう文献があるという事は覚えておきたいと思います.
教えて下さりありがとうございました.