こんばんは。またお世話になります。
この夏、里山の雑木林でミズナラの樹液酒場に来ていたハエです。 8月上旬・山形県 左右の翅を同時に根元からぐるぐる回し続けているのが面白く思いました。 腹端に黒く長いヘラのような産卵管を持つ♀と、そのような構造を持たない個体が居たのですけど、交尾行動などは見られませんでした。 動画と追加の写真がありますので、宜しければブログの方をご覧ください。
無責任なコメント。
ハネフリバエ科UlidiidaeのOtitinae亜科の1種ではないでしょうか(Otitidaeは現在Ulidiidaeの亜科として扱われています)。 Die Fliegenの翅の図版だけで絵合わせをすれば,Myennis millepunctata Hennig, 1939 にほとんど完全に一致しています。 本種は1927年6月15日にStackelbergによってUssuriのSutschanのSt. Sizaで採集された1雌によって新種として記載されたものです(Die Fliegen, Otitidae, p. 73, Taf. V, Fig. 60)。お尋ねのハエがこの種に一致するかどうかは,写真では原記載と照合できない形質が多々ありますので,わかりません。 本種はThe key to the insects of Russian Far East, Vol.6, part 2, p. 160では,Pseudotephritis属に移され,分布はアムール地方が含まれています。また,ussurica N. Krivosheina et M. Krivosheinaがこの種のシノニムとされています。この種,ussuricaはEnt. Oboz.1997の671-678のRevision of the Palaearctic species of the genus Pseudotephritis(原題はロシア語)で記載されたものでしょう。属が移されたので,学名はPseudotephritis millepunctata (Hennig, 1939)になるでしょう。 日本昆虫目録第8巻双翅目では本亜科には,Ceroxys sp.,Melieria crassipennis(Fabricius)の2種が掲載されています。後者の斑紋はDie Fliegenで見る限りあなたのハエとは翅の斑紋が一致していません。他にもHerina属の種が日本にいますが,これとは異なります。
しぐま様,アノニモミイア様.
Pseudotephritis millepunctataについては, "Han, Ho-Yeon. 2013. A Checklist of the Families Lonchaeidae, Pallopteridae, Platystomatidae, and Ulidiidae (Insecta: Diptera: Tephritoidea) in Korea with Notes on 12 Species New to Korea. Anim. Syst. Evol. Divers. 29(1):56-69" に生態写真が載っています. 同氏の説明では,"This species is clearly distinguishable from any other species of Ulidiidae by the numerous dark dots on its body."と記されており,しぐまさんの写真にも同様な暗色斑が多数あります. "A Checklist of the Families Lonchaeidae, Pallopteridae"で検索すると,ネットでPDFが見られます.
おはようございます。
アノニモミイアさん、茨城@市毛さん、詳細な回答ありがとうございました。 Pseudotephritis millepunctataと正体が判明して嬉しいです。 ハネフリバエ科というのは本当に初耳で、まさに名は体(行動)を表すのですね。 この翅の動きにはどんな意味があるのか、とても興味があります。 ご紹介のあった文献に目を通してから返信しようと思っていたら、急にバタバタと雑用が忙しくなりました。 取り急ぎお礼申し上げます。
灯台下暗し,で私の標本のチェックをしていましたら本種,Pseudotephritis millepunctataの雌の標本がありました.2011年6月9日に熊本県水上村市房山キャンプ場のハルニレの樹液に飛来していたのを採集した個体です.画像を貼っておきます.
あけましておめでとうございます。
貴重な標本写真を披露して下さってありがとうございます。 実は同じ樹液酒場で後日(8月中旬)、同種♂も採集しました。 アノニモミイアさんの美しい標本写真の後ではお恥ずかしいゴミみたいな死骸の写真なので、ここに貼るのは自重しておきます。(私の拙ブログ記事には追加で載せてあります) 今年も私は動画の方で頑張ります。 年賀状代わりとして、個人的に思い入れがある2014年ベストショット(双翅目部門)はこれです。 https://www.youtube.com/watch?v=gIU0SbU67I8 「寄主モンスズメバチの巣の近くに産卵?するムツボシベッコウハナアブ♀」 以前こちらで推薦してもらった『ハエ学』を読んだらとても面白く勉強になりました。 ぜひ続編として『アブ学』を企画出版して頂けるよう、関係者各位に熱望します。
どこかで見覚えのある気がしておりましたが、私も2頭標本を持っていました。鈴鹿山系にいました。1頭は2014.6.22三重県四日市市宮妻峡で灯火採集で得ました(写真の個体です)。もう1頭はいただきものですが、菰野町湯森谷林道で2012.8.31バナナトラップで得たものです。
皆さんのおかげで三重県産双翅目が1種増えました。
田中川さんお久しぶりです。Pseudotephritis millepunctataを三重県で採集しているとのご投稿,興味深いものです。山形と熊本,それに末吉昌宏博士の示唆によると草間・玉木(2004)が新潟県から記録したCeroxys sp.も本種であるとのことです。これら地域の間の三重県で発見されたのは納得のいく記録です。
面白いのは山形と熊本では樹液で採集されていますが,田中川さんのは灯火への飛来とバナナトラップとのことです。新しい生態情報になります。 樹液やバナナトラップに飛来する双翅類はもっぱらショウジョウバエ科が注目されますし,トラップは主にこの科の調査などに用いられているので,他の双翅類の記録が少ないのかもしれません。これからはもっと樹液に注目したいと思います。 なお,バナナトラップの個体の性はわかりますか?
三枝様、あらたに本種の新潟県からの記録情報を教えていただきありがとうございます。分布域が立体化してきましたね。
バナナトラップで得た個体は♀です。
田中川さん。バナナトラップの個体も♀でしたか。草間・玉木の個体も♀です。この個体は写真がでていて,同定も性も間違いありません。
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