画像、もう1枚です。
左上:小楯板
右上:左後脚の根元を腹面を上にして撮影
→基節の先近くの外側が、多少こぶ状に突出する
が、その部分に特に毛や刺毛が集中して生じて
いる様子はない。
下 :腹部背面、左側辺部
→各節後縁を縁取る黄色部分は、側縁に達すると
やや前方に伸びる。(黄色と黒のマダラとなる)
各腹背板の黄色斑紋は腹部背板側縁に接しない。
(腹部側縁の縁取りまでで止まる)
これらの特徴である程度わかるでしょうか?
このグループの分類は,非常に難しい問題を含んでます.
ヨーロッパでさえ"Difficult five"と言われているのに,極東に来るとさらに種類が倍増し,交尾器や触角比で区別出来ない種類が混沌としてます.
日本でのCh. arcuatus(arcuatum)は誤認の可能性が高いと思うのですが,素木コレクションに唯一残されていた標本は貸出中で正体不明です.
また,このCh. arcuatumとCh. festivumは研究者によって入替るので未だ良く解りません.Iliff&Chandler(2000)Case 3090 Musca arcuata and M. festiva Linnaeus, 1758 (currently Chrysotoxum arcuatum and C. festivum) and M. citrofasciata De Geer, 1776 (currently Xanthogramma citrofasciatum) (Insecta, Diptera): proposed conservation of usage of the specific names by the designation of neotypes for M. arcuata and M. festiva. Bull. Zool. Nomen. 57:87-93.
Ch. sapporoとCh. shirakii(=japonica)は中間型が見られるのでシノニムの可能性が高いようです.
この他に,竹内がCh. shirakiiとして図示した未記載種(Ch. graciosumの近似種)が普通に採れます.これは各腹板後縁の斑紋が発達します.
ヒゲナガハナアブ属のこのグループは,貸出中のタイプ標本を精査するとともに,DNA等も交えて再検討が必要性と思えます.
今年 S.-W. Suk,, Han H.-Y., 2013. Clarification of previously confused Chrysotoxum sapporense and Chrysotoxum graciosum (Insecta: Diptera: Syrphidae) in East Asia based on morphological and molecular data. Animal Cells and Systemsという論文が出ています.
論文がまだ届いていないのですが,下書きを読んだ感じでは,結構きれいに分かれてます.
今回の標本は,Ch. sapporense - shirakii群と思われます.
市毛様
ご無沙汰しております。
また、ご教示ありがとうございます。
相当面倒な感じですね。
まずは、Ch. sapporense - shirakii群ということで理解します。
埼玉では、Ch. arcuatusの記録がありますが、Ch. sapporenseはありません。
Ch. arcuatusの正体が不明であれば、記録に注釈などの付記が必要かもしれませんね。
また、いろいろ教えてください。