翅の斑紋だけの絵合わせでは、Monacidia suggrandis Itoというミバエに相当します。このミバエのタイプ標本は、この学名でネットで検索すれば、大阪府立大学ハーモニー博物館が出るので、これをクリックすれば、写真といろいろな情報が得られます。和名はないのかな。
確実性のある同定ではないので、また、ホゲさんに誤りを指摘されるかもしれませんね。
あなたのブログでは同定のために標本を採集されているとのこと、標本をお送りいただければさらに詳しく調べることが可能です。連絡先は、この掲示板の少し前に出ているFly Timesの50号に、Biology of Deuterophlebia nipponicaの書評が出ていますが、その筆者のアドレスです。
しぐまさま
ほげです。ミバエが好きです。
昼休みに見てしまい、仕事中ですがいてもたってもいられず投稿します(ごめんなさい =>会社)。
お写真のミバエですが、
Acidiella sapporensis (Shiraki) シホンハマダラミバエ
Acidiella japonica (Hendel) ヨモンハマダラミバエ
のどちらかだと思います。アノニモミイア様ご指摘のM.suggrandisは翅紋こそ似ているものの、図体が大きいです(7.5mm)
で、私としては、これはシホンハマダラの可能性が高いと考えています。
シホンハマダラは「頭部ori剛毛が4本(ほかの種はたいてい3本)」で区別されますが、この部位は変異が大きいので参考になりません。正確なところは交尾器まで見ないと分からないかもしれません。
いまのところはシホンハマダラは北海道にのみ記録があるので、山形県で得られたとなれば、本州初記録のはずです。
非常に記録の少ない種なので、標本をお持ちでしたら是非とも私も見てみたいものです・・・。
ほげ様、私の書き込みをフォローしていただきありがとうございました。
こんばんは。
ほげ様、アノニモミイア様、早速のご教示ありがとうございます。
とりあえず、「シホンハマダラミバエの可能性が高い」ということにしておきます。
学名から察するに、札幌に所縁があるミバエなのでしょう。
本州初記録の可能性がある珍種とのことで期待をもたせてしまいましたが、残念ながら標本はざんないことになりました。
せめて翅脈だけでもしっかり記録しようと、いつものように翅を根本から切り落とそうとしました。
使い慣れたハサミではなく、適当な(切れ味の悪い)道具を使ったら案の定、失敗しました。
3匹ともギッタギタに切り刻んだ挙句に自分で癇癪を起こして残骸を捨ててしまいました。
私はただでさえ手先が不器用な上に標本を適切に扱う素養がまるでなっていないので、お恥ずかしい限りです…。
いつの日かこのミバエにまた出会えたらリベンジします。
どうもすいませんでした。
しぐまさま
どうにか息子(5ヶ月)を寝かしつけ、束の間の休憩時間です。すぐ起きちゃうと思うので、本当に束の間だと思います…。
さて、標本が損壊&廃棄されてしまったとのこと。大変、大変残念です。たとえ状態が悪くとも、採集地情報が明記されていれば、その後に活用できる可能性があります。
殺めてしまった命(大和魂?)でもありますので、できれば今後は癇癪を起こさず、保管していただけると幸いに存じます。
とはいえ、生体動画&写真は非常に貴重な記録だと思います!!!! 見た限り、全部オスっぽいのも興味深いです。
これだけまとまっているということは、付近にホストがあるのだろうと推測します。もしお分かりでしたらお聞きしたいのですが、撮影地点の周辺に「ハリギリ」は生えていませんでしたか??
…で、帰宅して手持ちの資料を確認してみましたが、動画&写真のミバエは
Acidiella sapporensis (Shiraki) シホンハマダラミバエ
でほぼ間違いないと思います!翅や腹部の模様からそう判断しました。本種はShiraki(1933)にて記載されましたが、これに掲載されている本種の原色図は、お写真のものにソックリです。
なお、本種のタイプ標本は札幌から得られており、これが種小名の由来と思われます。私自身も北大構内で得ています。
たびたびすみません。続きを書こうとしたところで息子が泣き出してしまい、いったん中断しました・・・。
このスレッドに登場したミバエ種について、表記ミスの訂正&補足をします。
誤)Acidiella japonica (Hendel)
正)Acidiella japonica Hendel
括弧が余計でした。申し訳ありません。
なお、本種については、学生時代にタイプ標本(京都産のオスらしい)を取り寄せて検鏡したことがあります。…が、その標本はどう見てもナガハマダラミバエ A. maculata (Shiraki)で、しかも性別がメスでした。
私が見たものが本当にタイプなのか?という疑念がなくもありませんが(^_^;)、もしかしたら厄介な問題かもしれません。
また、アノニモミイア様が取り上げたM.suggrandis ですが、どうも変異個体を元に記載された種のように思われ、実際にはA. disjuncta (Ito)のシノニムではないかと考えています
ほげ様、返信ありがとうございます。
小さなお子様が夜泣きすると大変ですよね。
お疲れ様です。
標本を台無しにしたというのは勿論、昨日今日の話ではなくて、ひと月前の忌まわしき出来事です。
皆さんが欲しがる珍種と分かっていれば勿論そんなことはしませんでした。
翅にこれだけ特徴的な斑紋があるのだからきっと「知る人ぞ知る普通種」だろうと内心思っていたのです。
シホンハマダラミバエの生活史はどんな感じなのでしょう?(ハリギリがホストというのはどういう意味ですか?)
ハリギリのどの組織に産卵するのでしょうか?(葉?実?)
植物にも疎くて、ハリギリという樹木は初耳です。
もしかすると別の山で見たことがあるかもしれません。
今度現地に行ったときは気を付けて見てみます。
>見た限り、全部オスっぽいのも興味深いです。
そうでしたか! 確かに面白いですね。
獣糞で吸汁するチョウの多くは♂で、性成熟に必要なミネラルを補給するのだと言われていますが、ミバエもそうなんですかね。
採集後にシホンハマダラミバエ♂をしばらく飼っていたのですけど、容器内でも翅を誇示するような思わせぶりな行動がときどき見られました。
動画に撮りましたので興味のある方はブログをご覧下さい。
しぐまさま
シホンハマダラの寄主植物についての文献情報はまだありません。
個人的に、本種と思われる個体をハリギリの葉より得たことがありますが、まだ十分な情報が揃っていません。
シホンハマダラが属するAcidiella属はアケビ科などの葉潜りであることが知られています。ハモグリバエのようなきれいな「字書き虫」ではなく、染みのような潜葉痕を残します。
現地にハリギリ(センノキとも言います)があり、葉に染み状の潜葉痕があるようなら要注意、ということです。
ハリギリはウコギ科の木本です。書店のポケット樹木図鑑的なものなら大抵載っていると思いますし、ネットでググっても大量に情報が出てきます。
北海道には割とフツーに生えていましたが、山形ではどうですかね・・・。葉も幹も特徴的で、枝にはトゲトゲがあるので、認識は容易と思われます。
私もフィールドワークに行きたいです。「時間は作るもの」と言うのは簡単ですが、現実にはなかなか・・・。
おはようございます。
お忙しい中、返信ありがとうございます。
よく分かりました。
葉潜り虫の世界も面白そうですよね。昔からほんのり憧れがあります。
いつか微速度撮影(タイムラプス)の映像を撮ってみたいのです。
これを機にハリギリの葉を注意して見ることにします。
手元の樹木図鑑にも載ってました。
もし潜葉痕のある葉を見つけて採取した場合、枝ごと水差しにしないと成虫まで育ちませんか?
葉だけ採集するのでは駄目ですよね…きっと。
葉潜り虫がどの程度葉の中にいるのか分からないですが、私もヨコバイの幼虫の飼育で生葉を遣いますが葉の柄を鋭くっ切って水を浸したスポンジに刺しておくと一週間程度なら全然持ちますよ。
おはようございます。
KTさん
なるほど、細かなノウハウがあるのですね。
勉強になりました。ありがとうございます。
(ヨコバイの幼虫を飼ってるなんて、すごいですね!)
例のミバエを見つけた場所はちょっと遠くて、なかなかすぐには行けません。
でも近場の里山でハリギリの大木を見つけることが出来ました。
灯台下暗しというか、今まで認識していなかったようです。
見上げると虫食い跡(潜葉痕?)のある葉もありましたが、トゲだらけの大木なので生葉を採取しに登るのはとても難しそうです。
その後、この山道を再訪したところ、ハエを採集した地点の近くに自生しているウコギの木を見つけました。
ここは入山禁止の看板があちこちにあるため、道の左右をきょろきょろ見ながら歩いた限りでは、ハリギリは峠を越えた反対側で高木を1本見つけただけです。
幼木を見落としているかもしれませんが、私のフィールドでは「滅多に生えていないやや珍しい樹種」という印象です。