左中脚はとれてしまったので、ゲニタリアチューブに入れて保管しました。
CuA+CuP脈が翅端に達しているのでハナバエ科のようです。
記事No.8174でリンクを貼って下さっている文献、「Anthomyiidae of Japan」を見ました。
12ページの属の検索で主に注目した所を挙げると、
1 額は狭い、7 前胸側板は裸、8 aristaは羽毛状ではない、9 下部鱗弁は大きくない、
12 小盾板の側部に黒い斑点はない、13 髭剛毛は頬の高さよりも離れる、14 触角3節は短くなく、口上板は大きく飛び出ない、
15 orsがない、28 ifの剛毛はない、41 体は円錐形でも平たくもない、
となり、Pegomyaになりました。
ついでの質問になりますが、対句にaとかbとか書いていない場合、どちらかを指す書き方はあるのでしょうか。
一番問題なのは7番で、Anthomyiaではないとは思うのですが、
9ページのFig.8.のようにPropleuronの部分は裸で、Propleural setaeはあるのですが、
この状態でPropleuraは裸という解釈にしてしまってもいいかどうか分かりません。
189ページからのPegomya属の種の検索は、
1 後気門には毛がない、2 下部鱗弁は大きくない、
5 後脛節には2本以上のpdがあり、前脛節には1本のpvがある(pにも見えるのですが)、
6 praは存在する、7 中胸背ははっきりした4本の縞はない、
と進んだのですが、10番でPrebasal scleriteについての記述になり、ストップしました。
ゲニの絵合わせをしました。多少変形しているのですが、
221ページのPegomya orientisが一番合うように思いましたが、あっていますでしょうか。
検索をさかのぼる見方になってしまいましたが、
13 後脛節には1本の後剛毛がある、12 後腿節は黄色、11 腹部は円筒形か棍棒状で平たくない、
となり、ちゃんと10につながりました。
採集地を見ると北から南までいろいろと書かれていて、普通種かもしれないと思いましたが、
自分としてはsurstylusが挟子が増えたように見えてなかなかかっこいいと思います。
223ページには、「strongly sinuate projection on the surstyli」とあり、
別の文献にはもう少し各部名称のようなことが書かれています。
Suwa(2000)
A revision of the Chinensis group of Pegomya in Japan (Diptera : Anthomyiidae)
Insecta matsumurana. Series entomology. New series, 57: 89-127
100ページに、
「Surstyli (Fig. 26) with dorsobasal expansion recurved apically and long setose there;
outer process of surstylus with a flap-like expansion developed on dorsal and also on ventral side
near junction with inner process;」
この部分が気になったのですが、全体をきちんと読もうと思いました。
他に見た方がいい文献などについても、ありましたらよろしくお願いします。
大宮様.
春先はPegomyaが良く採れますね.私の場合,小楯板下部の細毛群の有無でハナバエ科を区別しています.
Suwa(2000)のsynonymic listにあるように,Suwa(1974)ではchinensis-groupの複数種を混同しており,当然ながら検索表にも問題があります.従って,このグループの場合は,新しいほうの検索表をたどってください.
写真のPegomyaは私も,P. orientalisだと思います.Surstylusの曲がりぐあいや付属突起などの形状も付図や記述に合致するようです.
この論文では主要な剛毛は略記されていますので,属への検索でのcouplet7は,prpl(Propleural seta)の有無ではなく,prpl以外の毛を備えるかが問われています.
prplの有無を問うのであれば,
7. prpl present.
- prpl absent.
のようなcoupletになります.
なお,数字+a,b表記を使った検索表は双翅目ではかなり少数派です.
該当数字の段落と,その直後のハイフンから始まる段落が分岐先です.
検索表をうまく辿れない場合等,交尾器を絵合わせする機会も多いので,既知の種類の交尾器の図が必要です.
その為,中国蠅類,中国動物誌,中国経済昆虫志,中国常見蝿類検索表,極東ロシアやヨーロッパ部ロシアの昆虫の検索等を機会があれば集めておくと良いと思います.
茨城@市毛様
ご返答ありがとうございます。
春先によく採れるのですか。今後の参考にしたいと思います。
科の見分け方については、イエバエ科との区別で翅脈ばかり見ていたので、小盾板下も見てみたいと思います。
混同については、確かに文献の冒頭に書かれていました。
各種の始めにある異名の列挙については、今までぼやっとしか見ていませんでしたが、よく見ると文献の年やページ数もあって、これでたどれるとわかりました。
ひとつ前の年の1999年のハナバエ科の目録の段階でも発表されていなかったようです。新しい方の検索を使おうと思います。
図の見立てについては合っているとのことで、よかったです。確認していただけると安心します。
couplet7の毛は、説明を聞いてなるほどと思いました。例文も出してくださり、授業を受けているようです。理解できました。ありがとうございます。
検索表の番号は、メモなどを書く時にどちらを選択したかが分かりやすいように勝手にabをつけてしまったこともあったのですが、少数派なのですね。
中国蠅類については、実は古書で入手しました。今回は日本の文献に詳しく出ていると思ったので見ていませんでしたが、786ページの図版133の1881に背面方向の図が出ていました。
この本の活用で、今飼育ケースに閉じ込めているハエで大体の予想はついているのですが、日本の文献が分からないかもしれず試しに中国蠅類を使ってみようと思っているものがあります。
投稿させていただいた時にはまたよろしくお願いします。
ありがとうございました。