もう一枚です。
まあさん:これはユスリカ科のChasmatonotusという属の1種です。日本と北米に隔離分布しています。もし採集されていましたら、標本をお送りいただけないでしょうか。種の段階まで調査できます。連絡先はFly TimesのIssue 47の2ページをご覧いただければお分かりいただけます。Fly Timeshは北米双翅学会の連絡誌で、ネットで検索すると分かると思います。
まあ様
大変面白い写真です。三枝先生がコメントされているとおり、Chasmatonotus属(ミヤマユスリカ属)のユスリカです。写真から、おそらくC. unilobusであろうと思われます。私は中部地方では標高800−1200mの湿地帯の周辺で採集しています。旧北区では、韓国にもいることが判っていますが、報告されているのは日本だけです。日本からこの属は6種が報告されています。他には北米から8種が知られています。この属の幼虫は陸生です。数年前に北米産の一種の幼虫が報告され、幼虫が陸生であることが確認されました。日本産のものについては幼生期は全く解明されていません。おそらく、出現場所の下草の根本の土壌中に生息していると想像されます
まあ様
先に、韓国から知られていると書きましたが、これは伝え聞きで、自身で確認しておりませんので不適切な文章でした。
Chasmatonotus属の特徴としては中胸に縦に走る明瞭な溝があることで他の属からの識別は容易です。また、写真にありますように色彩も非常に特徴的です。日本産に一種を除いて、北米産も含めてほぼ写真と同様の色彩パターン示しています。立派な翅を持っているのですが、他のユスリカの様に軽妙に飛翔することは出来ないようです(私自身の遠い昔の観察から)。また、もう一つ面白い特徴が見られます。雄と雌が生殖器を除いて殆ど同じ形態で、ほかのユスリカに普通に見られる性的2型を消失しています。これは地上を歩き回ると言う行動に起因していると思います。脚は丈夫で良く発達しています。
一種、例外と書きましたが、この種は外見的には他のユスリカと変わりはありませんが、この属の特徴である胸部の溝ははっきりしています。また、性的二型も明瞭です。
三枝豊平様、エリユスリカ様、
Chasmatonotus属とのこと、ありがとうございます。
この属がみな、似たパターンの配色で日本に6種いるという事とと載せて頂いたイラストは翅の黒い部分が付け根の方まであるようで、素人目にはまた別種の様で、、なかなか難しい感じです。
採集は残念ながらしてないのですが、今年は4月下旬頃から出て来そうな暖かさです。
ここでは山の谷筋の薄暗い感じの林で、ヤブレガサやフキなどが小さく群生しているあたりに葉の上や茎を歩き回っています。出はじめて1週間からから10日ぐらいでたくさんのカップルを見かけました。
カップルの写真は見られたもんじゃないんですけど参考までに載せてみます^^;エリユスリカ様の言われる通り、♂のあのふさふさの触角は見られず、♂♀はそっくりです。
三枝様 今年たくさん見られましたら、捕獲してみたいと思います。
このユスリカについてはエリユスリカさんが一番詳しい方で、私の書き込みはその前座みたいなものでした。なお、韓国には実際にこの属のユスリカは分布しています。南部山地に春に出かけると1000m内外の山で見かけます。この種はまだ未記載種のようです。
もし、今年カップルがたくさん採れたら、有機質に富む湿った土壌を入れた容器にいれて、産卵やその後の幼虫の孵化など調べたら、新しい発見ができるかと思います。北米産の幼虫は多分自然状態で大きくなった幼虫を採集したものかと、想像していますので、成虫に産卵させて幼虫を得るのはやさしいことではないとは思います。土ではなくて、ろ紙やティシュを湿らせて敷いた容器などに入れて産卵させるのも一つの方法かと思います。
いずれにしても、生きた成虫が簡単に入手できる場所でないと、飼育は難しいので、もし近くに産地があるのでしたら、失敗覚悟でやってみる価値はあると思います。
”捕獲”と書いたのは、専門家の方にしてみれば写真で種の判定は普段やらない中途半端な作業なのだからいろいろ教えて頂いたという事と、既知種とは別種かもしれないし、たくさんいるなら1ペア捕獲してみようかと思った次第です。^^;
写真を撮る場所で採集はやっぱり無理そうなので分相応にやっていこうかな思います。
これからだとここより先に出て来そうな場所がありそうですね。