バグリッチさん:
画像のオドリバエは同定された通りOcydromiaです.新訂原色昆虫図鑑第3巻に本属の種を入れるのを度忘れしていました.先ほど見てみましたら,抜けていました.図鑑用に標本写真まで撮ってあったのですが,間抜けなことです.
この属は私の手元に日本産は少なくとも3種あります.2種はヨーロッパから広く分布しているO. glabriculaとO. melanpleuraです.少なくともと言いましたのは,日本のO. glabriculaと思われる標本に色彩変異がかなり著しく,♂の胸部が全面的に黒色のものやあなたの写真のような赤褐色で黒紋のあるものまで変異があり,まだその実態を十分に把握していないためです.第3の種は胸部は赤褐色で中胸背板が強く尖るように突出したもので,九州の山地などで取れています.
なおO. glabriculaはヨーロッパでは♂は黒色,♀には♂と同様のものから赤褐色のものまで変異があるようです.
あなたの画像の個体は北海道や山梨の北部山地などに多いものです.
本属は卵胎生で,知られている限りでは雌は牛糞など動物の糞の上で産児し.幼虫は糞の中のほかの双翅類などの幼虫を捕食するようです.そのために♀の腹端は多くのオドリバエの場合にように徐々に細くならないで,一見♂のように裁断型(truncate)しています.
三枝様
詳細のご解説をいただき、厚く御礼申し上げます。
Ocydromiaの一種で間違いないとのこと、同定が間違えていなうことがわかって 安心しました。
O. glabriculaか否かは、色彩変異の個体を精査しないとまだわからない状況も良くわかりました。
わからないことが多いオドリバエ類には興味がわきます。
引き続き、機会があるたびに採っていきたいと思います。
また是非いろいろご教示賜りますよう お願い申し上げます。