Campsicn様.
写真のハエは,Campsicn様の御推測通りフンコバエ科の1種だと思われます.河川敷や湿地でミギワバエ類を採集する際に混じって採れます.
フンコバエ科は,日本産昆虫総目録では16種がリストアップされているだけでしたが,その後国立感染症研究所の林利彦氏により多数の新種・新記録種が記載され,現在では約80種が日本から記録されています.
市毛様
コメントありがとうございます。あまり翅脈に模様のある種が見当たらなかったので自信がありませんでしたが、フンコバエ科でよさそうということがわかってよかったです。
林先生の論文なども読んでみて、属や種まで絞り込めないか試してみようと思います。
Campsicn様
レスが遅くなりましたが、画像の種はフトゲフンコバエ属(Genus Rachispoda)の1種です。私はこの種を1986年にLeptocera (Rachispoda) subtinctipennis (Brunetti, 1913)として記録しています。Rachispoda亜属は現在属として扱われています。この種はアフリカから南太平洋諸島、東洋区から日本まで広く分布するとされていましたが、その後交尾器の形態のみが違う複数種がいることが分かりました。基産地はインドなのですが、残念なことにタイプ標本が所在不明でどれが本当のsubtinctipennisなのか確定できないため、日本産の種が本当のsubtinctipennisなのか未記載種なのか学名が確定できない状態です。
Rachispoda属の種は市毛さんが書かれているように水辺や湿地でスウィーピングをするとよく採れます。
小楯板剛毛は1対としていますが、実際には本種には4対あります。一般にフンコバエ科のハエは小楯板剛毛は2対ですが、Leptocera属(4対)やRachispoda属(3-4対)では多くなっています。
林利彦様
コメントありがとうございます。種までほぼ見当がついてすっきりする一方、まだ未記載種の可能性も残っているということで、改めて分類の難しさと奥深さを感じています。
タイプ標本の問題は様々な分類群でお話を耳にしますが、標本の所在不明といったどうしようもない事情によって、研究が止まってしまうというのは、聞いていていつも歯がゆくなります。
今回は一旦 Rachispoda subtinctipennis (ハマダラフンコバエ?)として整理したいと思います。追加個体を得られる機械などがあれば、交尾器の検討にも挑戦してみたいと思います。ありがとうございました。