皆様こんばんは。久しぶりにまたお世話になります。
冬の間に飼育していたタケカレハ幼虫(カレハガ科)に寄生していたハエについてお尋ねします。 どうも様子が変だと思っていたら蛆に内部寄生されていたようで、寄主を中から食い破って殺し、容器の底には囲蛹が3個転がっていました。 囲蛹の一個から羽化した成虫がこちらです。
とりあえず当てずっぽうで「ヤドリバエ科の一種」としておきましたが、もし更に分類を絞り込めるようでしたら教えてください。
ハエの死骸を保存してありますので(あまり状態が良くないかもしれませんが)、同定のためにどの部位のどのアングルの写真が必要か言ってくだされば出来る限り対応致します。 よろしくお願いします。 追加の写真もあるので、よろしければ拙ブログもご覧ください。
しぐま様.
Shima(2006)A Host-Parasite Catalog of Tachinidae (Diptera) of Japanによれば,タケカレハEuthrix albomaculataを寄主とするヤドリバエは次の3種が報告されています. ・Blepharipa sericariae カイコノウジバエ近縁種 ・Exorista japonica ブランコヤドリバエ ・Pseudoperichaeta nigrolineata ハマキヤドリバエ ここから消去法で行くと, ・apical scutellar bristlesが寝ているようなので,Pseudoperichaeta属ではない. ・fronsが突出していないので,Exorista属ではない. と2属が消えます. 実際には,日本産ヤドリバエ科は800種ほどいるそうなので,先の寄主目録に記録されていないものも多数あると思います. 同定のために必要なアングルについては,下記のURLにあるヤドリバエ科の属の検索の図を見て頂ければ解るように,あらゆる角度からの精査が必要となり,写真による同定というのは現実的ではありません. ヤドリバエの専門家であれば,写真から属レベルまでは絞り込めると思います(^_^;) http://www.hr-rna.com/RNA/Other%20insect%20pages/Tachinid%20key%20pg1.htm なお,上記URLの北米の属の検索キーは260番までですが,日本の場合549番まであります.
茨城@市毛さま
親切なご教示ありがとうございます。 やはりヤドリバエをきちんと見分けるのは至難の技なのですね。 少なくとも実体顕微鏡を持ってないと太刀打ち出来そうにありません。 >タケカレハEuthrix albomaculataを寄主とするヤドリバエは次の3種が報告されています. こうした貴重な情報は助かります! スペシャリストな寄生蜂と違って寄生蝿は寄主をあまり選ばない(ゼネラリスト)ようで、そこが難しくもあり面白いところでもありますね。 ところで、確かアブやハエで複眼の大きさから性別が見分けられたと思うんですが、ヤドリバエの仲間でも当てはまりますか? つまり、私の写真の個体は複眼の形状から♀と言えますか? 頓珍漢な質問だったらすいません。
しぐま様.
複眼と雌雄の関係については,オスでも複眼が離れている属があるので一概には区別出来ません.(当然,メスの方がより複眼間の幅が広くなります) ヤドリバエの場合,殆どの属でオスでも多少なりとも複眼が離れています. 写真のヤドリバエの場合,かなり離れているのでメスと思われます. 寄種との関係については,ホスト毎にゼネラリストのDNAを調べてみた結果,いくつかの種類に分かれており意外とスペシャリストであったとの話が出ています. DNA barcodes affirm that 16 species of apparently generalist tropical parasitoid flies (Diptera, Tachinidae) are not all generalists. http://www.pnas.org/content/104/12/4967.full
茨城@市毛さま
度々のご指導ありがとうございました。 ♀で良さそうということで、書き換えておきます。 ご紹介下さりました論文はとても面白そうなので、頑張って目を通してみたいと思います。 DNAバーコーディング恐るべし…。 |
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