ユスリカであることは間違いありません。写真では頭部の眼斑も明瞭には判りません。が、エリユスリカ亜科Orthocladiinaeの様です。尾針台の特徴も明瞭ではありません。この部分のキチン化の状態も同定には重要な形質となります。Mentum(下唇板)が判れば、はっきりすると思います。時期的なこと、体長などを参照にすれはエリユスリカ属Orthocladiusかフユユスリカ属Hydrobaenusのどちらかでしょう。可能性としてはキソガワフユユスリカH. kondoi Sætherが最も高いでしょう。
エリユスリカ様
ご指導ありがとうございます。不鮮明な写真で申し訳ございませんでした。 お時間のある時でけっこうですので二つ教えていただけますでしょうか。 ◎下唇板による同定の仕方を学べる文献がありましたらお教えください。 ◎採集時に幼虫はハイイロゲンゴロウの死骸についていました。これは採食行動とみなしてよろしいでしょうか。 以上、たびたびで恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。 FS
下唇板による同定:下唇板の形状で、ある程度までは同定が可能です。ただし属レベルで。しかし、よく似たもの等も多々あり、これだけに頼って同定することはある程度の危険を伴います。文献としては色々な出版物があります。英語に抵抗がなければ、以下の文献があります。
1.Wiederholm, T. (ed.) 1983. Chironomidae of Holarctic region, Keys and diagnoses. Part 1. Larvae. Ent. Scand. Suppl. 19: 1-457. 他にもMmanual of Palearctic Dipteraがありますが、解説が丁寧なのは上述の文献です。 邦文としては、以下の3つを挙げることが出来ます。 1.ユスリカの世界:培風館 2.日本産水生昆虫:東海大学出版会 3.図説日本のユスリカ:文一総合出版 があります。 2番目のご質問 ハイイロゲンゴウの死体の状態はどうだったのですか?内蔵や筋肉が表に出ている状態だったのですか。後者の様な状態なら、摂食をしていたとも考えられます。ユスリカの食性は種によって多様です。この写真の幼虫は基本的にデトリタス食です。と言っても観察されたように他の生物の死体も食べます。さらに動物プランクトンなども食べます。雑食と考えて良いと思います。もちろん植物だけに依存する種もいます。
エリユスリカ様
丁寧にご教示いただきありがとうございます。心より感謝申し上げます。 ハイイロゲゴロウはそれほど腐敗は進んでいませんでした。しかし、家に持ち帰って一日でかなりふやけた状態になりましたので、実際には見た目以上に腐っていたのかもしれません。 文献を取り寄せて勉強します。ありがとうございました。 FS |
- Joyful Note -
- Antispam Version -