前スレで、ハエに興味が・・・と書かせていただきました。
アブ以外はじめて意識してハエを採集いたしました。 今までは、毒瓶にハエが入ってしまっていてもぽいしていました。さて、採集品ですが今回は半翅目の調査の折に採集した3品です。
KT様.
最初の一歩は,標本作成です. 翅脈が見えないと,よほど特徴的な種類でない限り,科や属が判別出来ません. 通常は,翅が上側に来るようにマウントします.また,脚はある程度伸ばすようにします. 一度,みんなで作る双翅目図鑑 画像一括閲覧ページの標本を見てください. http://homepage3.nifty.com/syrphidae1/diptera_web/issun_photo.htm 同定会で,甲虫のようにタトウに並べた標本を持ち込む方がおりますが,以前にアノニモミイア氏が「双翅目は三次元昆虫」と述べているように360°色々な角度から見えるような標本を作製する必要があります.したがって,適切に作られてない標本の場合,同定に無駄な労力を必要としたり,普通種でありながら種の特徴が見えないため,○○の1種としか判別できないことがよくあります. 1枚目は,翅脈などの特徴が全く把握できないので,科すらわかりません. 2枚目は,シマバエ科Lauxaniidaeかクロツヤバエ科Lonchaeidaeのように見えます. 3枚目は,アシナガバエ科Dolichopodidaeの1種です.翅脈が見えるともう少し絞れるかもしれません. P.S. 投稿時には,採集時期,採集場所,体長を明記するようにお願いします.
市毛様、ありがとうございます。
採集場所等失礼いたしました。千葉県印西市の雑木林で本日(10月2日)採集です。 皆様の標本画像拝見いたしました。私も翅が上に(バタフライのような)かえるようにしてみたいのですが、難しいですね。 2枚目のやつは翅が上になかなか行ってくれません。壊れることを覚悟して練習してみようと思います。 1枚目のやつもちょっと翅がよれてしまっていて、残念です。なんとかきちんとしてみようとは思います。まだ柔らかいのでもう少し硬くなった方が整形しやすいのでしょうか。 とりあえず1枚目のもうすこしましな翅の画像です。
KT様.
双翅目でも,ハエ類の仲間の軟化は難しいです. 軟化展翅は出来ますが,体の剛毛の脱落が起きやすく,剛毛の有無や長さの比率を必要とする種類の同定が困難となります. 軟化方法はNo.5240,No.2574 等を読んでみてください. 新訂大図鑑の科の検索でも,多数の用語が出てきますが,初心者には解り辛いので,概念的な絵解き検索のHPを紹介しておきます. Key to the Families of Diptera Associated with Cow Dung http://www.nadsdiptera.org/FFP/dungfly/dungfly.htm 1枚目の写真の種類をこの絵解き検索で調べると, ・触角の形から,(Brachycera短角亜目) Go to 11 ・Ptilinal fissure(額のう溝)の有無でkey 16と11に分かれます.(ここでは,写真からの印象で16へ行きます) ・Couplet 16で,また写真では見えない特徴を判別しなくてはなりません.ここで有弁類17と無弁類22に分かれます.(ここでも,写真からの印象で17へ行きます) ・Couplet 17で,meron(下側板)に剛毛列があるかどうかでkey 18と19に分かれます.残念ながらKT様の写真では判別できません. この検索では,18はCalliphoridaeクロバエ科,19はSarcophagidaeニクバエ科がゴールとなっていますが,KT様の翅の写真から翅脈R4+5とM1+2がほぼ並行で,翅端でわずかに閉じ気味になるので,仮に有弁類であるとしたらMuscidaeイエバエ科の1種の可能性が高いと私は思います.
2番目はクロツヤバエ科のLonchaeaの1種の可能性が高く、1番目もあるいはこれと同じかも知れません(頭部の刺毛、中脛節端の背刺毛など)が、光沢が写真に写っていませんので、あまり自信がありません。3番目はもちろんアシナガバエ科です。
多くの双翅類は採集して死んでからあまり時間がたっていない(数時間以内)時には、胸部筋肉が死後硬直していて、翅が静止しているタテハチョウのように背中に立ててあるか、あるいは「はがいじめ」のように腹側になっている場合があります。この時間内では、体が硬直していて、翅は二つのいずれかの姿勢を取っていて、翅がだらだらとは動きません。前者の場合にはそのままの状態で標本作成ができます。後者の場合には字で書くのは少々難しいのですが、体を仰向き(背中を下)にして)、紙の上に置き、細いピンセットで両翅の根元のすぐ上(体が仰向きですから、翅の根元の上になります)を軽く挟んで、そのまま胸を弱く紙に押しつけると、瞬間的に翅は背中側に反転します。これは何度か大型のハエ(クロバエ、ニクバエなど)で練習してみると習得できます。なぜこのようになるかと言いますと、ハエの翅の根元の関節には弾力性のあるクチクラの構造があって、胸部の飛翔筋の収縮との関連で、この部分で翅が上下に瞬間的に反転するようになっているからです(詳しいことは説明が錯綜するのでやめておきます) 。 このようにして、翅を背中側に反転させておくと、そのままの姿勢で乾燥します。 ただし、死後半日以上位たつと、胸部の筋肉が弛緩して(その前は死後硬直している)、弾性クチクラの働きがうまく利かなくなり、翅はだらだらとなります。もちろんこの状態で、翅を背中側にピンセットで合わせて、その姿勢で三角紙などに挟めば、その状態で乾燥します。 なお、乾燥してしまったハエは以上のことはできません。当たればあたるほど標本を傷めるだけです。乾燥したハエは脚でも触角でも大変壊れやすいので丁寧に扱わなければなりません。
市毛様、アノニモミイア様、ありがとうございます。
早速、翅をくるんとさせようといろいろ頑張ってみましたが、 足が取れたり、頭が取れたり、ぼろぼろになってしまいました。悔しいですが、そのまま台紙に貼り付けて標本にしようと思います。もう少し大きなハエで練習してみます。アノニモミイア様のおっしゃるようにニクバエ辺りで…。 悔しいですが・・・ ボロボロになっても翅が反転してくれなかった2枚目の画像の翅です。 不器用な私ですが、懲りずにこれからもご指導くださいませ。
2枚目は今回の翅の写真からもLonchaeaまたはその近縁属でしょう。
アノニモミイア様、ありがとうございます。
そこまででも分かって一歩前進です。 今後ともよろしくお願いいたします |
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