写真のアシナガバエは♂ではなくて♀の個体です。特に腹端の写真がありますが、このような形態がアシナガバエ科の♀の一般的構造です。
それで、属が何かということですが、この写真だけでは何とも言えませんが台紙の大きさなどから推察すると、Chrysotus属あたりが怪しいかと思います。
なお、アシナガバエ科をこれから調べようとなさるのでしたら、下記の中国のアシナガバエの総説を参照されることをお勧めします。
楊定他編著(2011)中国動物誌 昆虫綱 第53巻、双翅目 長足虻科 上巻と下巻、科学出版社(北京)420.00元(上下巻共)
中国の本を扱っている書店(例えば、上海学術書店 練馬区貫井1-3-53)等に問い合わせたら入手できるでしょう。
追記:上海学術書店のホームページを見ましたら、16,800円ででています。注文すれば10日位で入荷するそうです。
Anonymomyia様
初心者の拙い質問にも関わらず、親切にお答え下さり、ありがとうございます。怪しいとは思っていましたがやはり♀でしたか。かなり初歩的なところから間違っており、お恥ずかしい限りです。
Chrysotusあたりが怪しいとのことでしたので、再度確認してみましたが、確かに近い感じを受けます(ちなみに書き忘れておりましたが、体長は約2-3mmといったところです)。
日本産水生昆虫(2005)では、Chrysotusに至るキーに「中脚、後脚の腿節は前面〜前方背面に亜先端剛毛を欠く」とありましたが、「前面〜前方背面の亜先端剛毛」がどれか、まだよくわかっていないため、そのあたりで検索表を読み違えていたかと思います。
写真にうつっていなかった後脚をアップしましたが、矢印で示したあたりが亜端剛毛(Preapical bristle?)でしょうか…? 脚断面の刺毛位置などが解説されている本もありますが、あのadとかpvとか書かれた断面図がよくわからず、各刺毛の名称が理解しきれていません。まだまだ勉強が必要ですね…。
ちなみに、紹介してくださった中国動物誌は一応入手しておりますが、まだ英語での各部の名称を理解できているかが怪しいため、まだ活用しきれておりません。とりあえずこちらでもChrysotusを確認してみます。ありがとうございます。
脚の各部(腿節、脛節、付節)の位置を示す場合には、仮想的に脚が体の横に伸ばされた状態(体軸に対して直角、水平に伸長された状態)で、頭の方が前方(anterior, a)、腹端の側が後方(posterior, p)、上が背方(dorsal, d)、下が腹方(ventral, v)となります。それぞれについて中間があるので前方でやや背方の位置が前背方(anterodorsal, ad)、前方でやや腹側の位置が前腹方(anteroventral, av)というようになります。
後脚の場合は脚が体側に引きつけられている場合は、見えている面が前面(anterior surface)になります。ですから、あなたの図で示されている面は後面になりますので、ここには前面の刺毛は生じていません。
脚の面については、北隆館の新訂原色昆虫大図鑑第3巻の270ページにも詳しく書いておきましたので、参照してください。
脚の各部名称についての解説、ありがとうございます。今まであまりよくわかっていなかった辺りが、かなりすっきりと理解できました。あとはいろんな標本を見ながら身につけていきたいと思います。
改めて標本の脚をを見ますと、「前面〜前方背面の亜先端剛毛」が確認できませんでしたので、やはりChrysotusあたりに属すのではないかと思います。♀なのでそれ以上同定できるかはわかりませんが…。それにしても、アシナガバエの♂の実物をまだ見たことがありませんが、私の未熟なスウィーピングには入らないほど敏捷なんでしょうね。
この度はありがとうございました。また何かわからないことを質問させていただくかも知れませんが、何卒よろしくお願いします。