上記のCladura sp.のゲニタリアです。
これはヒメガガンボ科のCladuraではなく、ガガンボダマシ科のTrichocera属の一種です。
この交尾器(とくにgonostylus)にそっくりな種が朝鮮半島からC. P. Alexanderによって記載されています。写真の種は国内では北海道内だけで見つかっています。朝鮮半島の種とは体色の記述が合わないので以前(院生時代)は別種と考えていたのですが体色は標本の状態で見方見え方が微妙に異なるので、朝鮮半島の種と一緒と考えて記録しておき、将来、直接的な比較ができるようになったときに確認すればいいかなと今では考えが変わりつつあります。こういうのは判断が難しいですね。
なんと!ガガンボダマシ科でしたか。いやぁ、とんだ誤同定でした。糸角亜目はまだまだ修行が足りません。
この種はとにかく晩秋の北大キャンパス内にはウジャウジャと飛び回っており、隣接した我が家が入っているアパート内にもよく飛び込んできます。
同時期の豊平川水系を遡った定山渓近辺で多く採集されるガガンボダマシです。Dahl and Krzeminska (1997)の検索表でTrichocera sp.と判断致しました。
上記ガガンボダマシのゲニタリアです。この画像でははっきりしませんが、basal part of forceps の bridgi 部分の中央部分が2尖頭を形成しています。
ゲニタリアのparamereが薄片状でプレパラート画像ではっきりしないので、乾燥標本のままの横からの画像で示します。札幌の低地のガガンボダマシのparamereに比べて非常に長く伸張して反り返っているのがわかります。
魅力的ですが、この写真ではどういった種にあたるか判別は難しいですね。
過去2回北海道でガガンボダマシを採集していますが、面白い場所です。
ガガンボダマシは北方系の昆虫だけあって、北海道ではまだまだ見たことのない種が見つかるものと思います。
意外に、町の中の公園とか、畑のまわりなんていうのは、採集していないので、狙い目かも。
達磨さま
色々と見ていただいてありがとうございます。
北海道のガガンボダマシは未記録種がまだまだ多く眠っていそうですね。環縫群のハエの採集のついでにでも、晩秋には少しでも心がけて小まめに採集して標本を蓄積しておくように致します。