そんなに沢山双翅類が出現しているとはうらやましい限りです。九州は昨今異常に虫の姿が少なく、異変でも起こっているのかと訝ります。先日熊本県の内大臣峡に採集に出かけたのですが、やや薄曇とは言っても気温も暖かかったのにかかわらず、谷間から上空をみてもほとんど何一つ虫は飛んでいませんでした。蝶もカラスアゲハ、テングチョウ、サカハチチョウが各1頭見ただけという状況です。この状況は福岡でも大差ありません。
さて、クチキカですが、この種はヤマトクチキカに最も近縁な未記載種で、1)翅のガラス状透明感が強い、2)小楯板が暗色、3)腹部各節背板の後縁が顕著に明色にならない、4)雄の後脛節が先端に向って肥大する、という形質を持っています。
本州中部から九州までの標本を持っていますが、本州北端まで分布しているのですね。採集した近くで今発生しているはずだから、是非材から前半身を乗り出して羽化している蛹殻をさがして、坑道をたどって内部にある幼虫の脱皮殻を採集してみてください(幼虫脱皮殻は直ちにエタノールに入れないと乾いてしまう)。蛹は一見キマダラガガンボのに似ていますが、呼吸突起はこのガガンボのように牙状に尖ってはいないし、頭部から前胸にかけての背面が円形平面になり、生時は坑道の栓として働いているので、識別は簡単です。
今週中にマレーズトラップの設置に行く予定ですので、そのときに時間を作って蛹殻を探してみます。
六本松時代に椎葉越近くの沢でスウォーム中のクチキカをたくさん採った記憶があるのですが、標本が見つかりません。この時のものも今回のような体色だったように記憶しています。
顕微鏡のリング照明が未だに届かず、仕事がしにくくてしょうがありません。オリンパスは私の愛機SZX11を改め、新機種(現在職場で使用の)SZX16としたときに対物レンズの直径が大きくなったのです。一度納品されたものは細い方対応で、リングがはまらなくなってしまいました。製作会社が新しいものを作って対応するようにしたようですが、いつになったら納品されるのか。,,,,,,,暗い。
虫がいないのは九州だけではないようですね。紀伊半島で採集を行いましたが、飛んでいる虫を殆ど見ませんでした。花は咲いているのにハナアブすら訪花しておりませんでした。沢をスウィープしても、ユスリカも殆ど入ってきませんでした。3月、4月の天候のせいでしょうか。それでも基節は確実に進んでいるようです。
クチキカは九州熊本の白鳥山で群飛しているのを見たことがあります。ゆったりとして、見ている方も気持ちが落ち着きます。達磨さん、機会があればユスリカも見せて下さい。