尾端と口器が見えます。他にもう少し翅脈が見える写真と腹側から撮った写真があります。もし必要であれば、追加いたします。
ヌカカの画像による同定は極めて厳しいです。(たぶんヌカカ屋さんはここのBBSに出入りしてないと思います。)
とりあえず、日本産ヌカカCulicoides(Diptera:Ceratopogonidae)のグループわけの試み
著者: 和田, 義人 北岡, 茂男
をキーワードにしてCiNiiで検索すると和文の比較的理解しやすい文献がPDFでDL出来ると思いますので、参考にされると良いと思います。
ハエ男様
文献の御紹介有り難う御座います。
どうも日本では主に吸血性のCulicoides属が研究されている様ですが、写真のヌカカが何亜科なのか、何属なのかすら分かりませんので・・・。CiNiiで「ヌカカ科」或いは「Ceratopogonidae」で探してみましたが、全体的な検索に役立つ入手可能な文献は見当たりませんでした。
やはり、「ヌカカの1種」とする以外に手がないのかも知れません。
写真のヌカカは恐らくForcipomyia属の1種でしょう。
Forcipomyiaは私の仕事場のベランダにおいてある藻類や有機物の入った水槽などでもしばしば発生します。
ヌカカの幼虫は淡水(止水,流水を問わず)や湿地のほかに,草や木の葉などが堆積して腐敗したような所でもチョウバエなどともに発生します。Culicoidesなどはどちらかと言えば自然が豊かなところに生息しますが,一部のものは市街地にも生息しています。
また,成虫は温血動物の血液を吸うだけではなくて,トンボダニカのように他の昆虫(蛾などを含む)の体液を吸ったり,一部の種はオドリバエのように昆虫捕食性で,この場合は交尾中にメスがしばしばオスを摂食することもあります。この場合はオスの体内に消化液を注入して分解したものを吸収するので,オスの体はクチクラだけが残るような状態になります。
三枝豊平先生.
情報有り難う御座います。
Forcipomyiaは九大の目録で61種、Culicoidesの59種より多いのですね。人吸血性の種もあるとのこと、双翅目昆虫は環境に適応するのが非常に巧みなグループの様です。体外に唾液を出して消化したものを吸収すると言う栄養摂取の方式は、非常に応用範囲が広いのでしょう。
ところで、Forcipomyia (Lasiohelea) には「ブユモドキ亜属」という和名を用いている方もありますが、Forcipomyiaには和名は無いのでしょうか。また、糸角亜目なのにMyiaと付いています。学名の付け方にも「ケバエ」の様な「混乱」があるのでしょうか。
上位分類群,特に属の和名はほとんど任意に付けられているようです。多くはその属に含まれる「代表的」な種の和名,Pierisのモンシロチョウ属(模式種に従えと言うことになるとオオモンシロチョウ属という日本人にはワケの分からない和名になります;同様にヒョウモンチョウ類の含まれるヒョウモンチョウ亜科Heliconiinaeを模式属にしたがってドクチョウ亜科(実際にそう呼ぶ人もある)というと,これもぴんとこない),や多くの種の和名の語尾Papilioのアゲハチョウ属(普通にいるナミアゲハ属とか模式種のキアゲハ属とは普通は呼ばない)のようにしているようです。
Forcipomyiaの種の和名については,唯一,F. albiradialisにシロフケブカヌカカの和名があります。もし私が用いるとすれば,Forcipomyia属にはケブカヌカカ属を使うでしょう(翅にmacrotrichiaが密生しているため。これも勝手と言うか任意です)。
Myiaについては,flyやmidgeに相当するギリシャ語が,myia, empis,syrphos, konops, myopaなどがあります。Myiaは最も普通に双翅目の各群に用いられています。もともと古典語ですし,現代日本語のハエ,カ,アブ,ブユ,ガガンボなどのような特定の概念(双翅目の特定群をさす)を持った語とは異なるのではないでしょうか。あえて言えば日本語の古語の「まくなぎ」(双翅学会の機関誌名)のようなものでしょう。糸角亜目でもElephantomyia(ガガンボ科),Apistomyia (アミカ科),Cramptonomyia (ハルカ科),Zygomyia(キノコバエ科),Cecidomyia(タマバエ科),Trichomyia(チョウバエ科),Stegomyia(カ科),Astoneomyia(ブユ科),Heteromyia(ヌカカ科),Oreadomyia(ユスリカ科)など枚挙に暇がないくらいあります。ですから,これはあなたが言うような「混乱」ではないと思います。
三枝豊平様.
詳細な御回答有難う御座います。
Forcipomyiaの和名については、前例が無いのであれば、私如きが勝手に名を付けることは許されませんので、「和名無し」とすることに致します。
myiaについては全くの勉強不足でした。糸角亜目にはこれまで殆ど縁が無かったので、ラテン語の科名や属名には全く無縁でした。随分沢山myiaの付く科や属があるので、ビックリしています。全く不注意でした。もう少し調べてから御伺いするのであったと反省しております。
Forcipomyiaの種の和名については,九大のカタログだけをみていて,北隆館の原色昆虫大図鑑を参照するのを落としていました。同書には5種Forcipomyiaが載せてあり,シロフケブカのほかにモン,コンイロ,ヒトスジ,モリなどの名称がヌカカの前に付けられています。
あなたの写真のものは一見モンヌカカに似ていますね。
三枝豊平様.
先日のアシナガバエでは北隆館の圖鑑を見なかった為失敗しましたので、今回はチャンと見てから投稿致しました。モンヌカカは、前縁中央の黄色斑、平均根の大きさや色、触角の大凡の形状などは似ているのですが、大きさが2.5〜2.7mmとあるのに対し、写真のヌカカでは約1.7mmです。双翅目昆虫は、幼虫時の栄養摂取の違いで体の大きさに相当の差が出る様ですが、少し違いすぎるのではないでしょうか。
ブログの方には「恐らくForcipomyia属の1種、一見モンヌカカに似るが小さい」と言う趣旨にしておこうと思っております。
御指導有り難う御座いました。