下側板剛毛と思しき毛の束が見えます。
下前側板(腹側版)剛毛は逆二等辺三角形になっています。
略正面からの写真も付け加えておきました。
写真だけで良く到達するものかと感心しますが,恐らく外観からするとあなたの同定が当っているように思えます。本種の♀は♂に比べて脚の淡色部が一般に狭く,かつ個体変異がかなりあるようです。♂なら「日本のイエバエ科」の写真のようになり,もっと淡色部が広くて,その範囲はあまり個体変異が著しくないようです。
三枝先生
早速の御回答有難う御座います。
「写真だけで良く到達するものかと感心しますが・・」、御叱りを受けている様で恐懼致しております。
「同定が当たっているように思えます」とのこと、胸を撫で下ろしております。偶々、運が良かっただけだと思います。
今一つ良く分からないのが、「日本のイエバエ」の検索表にある「後脚脛節に後背部(pd)先端1/3の剛毛」です。3番目の写真(5821)に写っている後脛節先端1/3付近にあるやや後ろ向き(この写真上で)の長い剛毛はpdではないのでしょうか。毎度くどくて恐縮ですが、後学の為にお教えいただければ幸いです。
尚、このハエと同種と思われるものを7月11日と17日にも撮影しております。同一個体とは考え難く、この辺りに極く普通に棲息している様です。この様なハエが2003年まで記載されていなかったとは、一寸した驚きでした。
「3番目の写真(5821)に写っている後脛節先端1/3付近にあるやや後ろ向き(この写真上で)の長い剛毛はpdではないのでしょうか」
そうだと思います。本種の標本写真♂と♀,♂の後脛節を添付します。「日本のイエバエ科」の写真より細部が分かると思います。いずれも宮崎県小林市猪ノ子谷で♂は2004年6月14日,♀は2003年7月7日採集です。
左右の後脚が重なっているので,剛毛がわかりにくいのですが,斜め2本とほぼ直立した1本があります。斜めの先の方にあるのは右後脛節のものでして,ほぼ直立したものがpd剛毛です。後脛節にはほぼ中央に各1本のad,d剛毛が,先の3/4位置に1本のpdが,亜端部にやや短い1本のad剛毛が生じています。
「この辺りに極く普通に棲息している様です。この様なハエが2003年まで記載されていなかったとは、一寸した驚きでした。」
No. 5793に示したAtherigonaクキイエバエ属でもお分かりのように,一見良くわかっているようでも双翅目ではまだまだ未記録,未記載の種が身の回りにもたくさんいるということです。
Coenosia variegataの♀です。
♂の後脛節です。中央のad剛毛はピントが合っていないので,ソケット以外はボヤーとしています。
三枝先生
拙質問に対する御回答、並びに、Coenosia variegataの詳細写真、有り難う御座います。わざわざ標本を探され撮影までして頂いて、恐縮千万です。
疑問であったpdらしき剛毛はやはりpdであるとの由、「日本のイエバエ科」は容易でないと聞き及んでおりましたが、全く私のレベルで使いこなせる文献ではない様です。
各脛節の剛毛を比較すると、先生が御提示された写真と殆ど一致することを確認致しました。但し、私の写真では前脚脛節中央にpないしpv方向の長い剛毛がありますが、これが先生の写真(2番目の♀)では見当たりません。どう考えれば宜しいのでしょうか。
私の写真の雌雄にはいずれも前脛節の中央から後剛毛(posterior bristle)があるのですが,写真では脛節本体と重なりあって識別しがたくなっているだけです。
私の雌雄の写真を拡大(2回クリック)して,注視してもらえば,左前脛節(手前の前脛節)の中央近くから先端に向かって伸びているこの剛毛をかろうじて認めることができます。
三枝先生
レベルの低い質問で失礼致しました。標本写真(横位置:頭左、腹手前)の場合、posteriorは右向きとなり、脛節本体と重なるとは思ってもみませんでした。やはり、こう言う関節で曲る立体的なものは、自分で標本を作ってみないと良く分からないのかも知れません。
御回答有難う御座いました。