Odontosabula属のことは間違いないでしょう。
本属の種は恐らく移動性が小さく、集団が分断され、日本列島内で分化途上の状態にあると推測しています。
本属では腹部や脚の色彩、体や触角の毛の色彩、触角鞭節先端小節の長さなどを基にして「種」が識別されています。白山ではdecoraとfulvipilosaが同所的と言うことになっていますが多くは異所的です。九州のgloriosaとこれら2「種」の中間地域での標本の情報もきわめて不十分です。
このような分化状態と情報不足の段階では、余り「種」にこだわる必要はないのではと思います。今、decoraやfulvipilosaを即座にgloriosaのsynonymにするわけにもいかないでしょうから、当面これら3「種」に該当しないような色彩斑紋のものは、Odontosabula sp.として扱うしかないのではないでしょうか。
日本列島には、このような分化途上の双翅目は多々あると思います。
三枝先生
昨年U村のカスミハネカの際はありがとうございました。
栃木県の中山です。
この度はコメントありがとうございました。
Odontosabulaは細かく分断されている可能性があるのですね。
環境省のレッドデータブックを読んでいて3種の分布からそんな気も少ししていました。
この採集地にはまた来週行く予定がありますので追加個体を探してみたいと思います。
もし♂個体や複数個体が確保できるようなら、私の手には負えませんのでお送りさせていただければと思いますがいかがでしょうか?
今回のりゅうひさんの画像の個体と類似した腹部や脚の斑紋をあらわす個体の画像が次のブログに掲載されています。いずれもシマクサアブO. gloriosaに類似した斑紋です。
1.みんなで作る昆虫ブログ、むし探検広場、のhatayanさんの投稿で、場所は「高冷地」としか示されていません。
2.ハンマーの虫のページ2.の5月17日の日付の所に、兵庫県三田市で撮影された個体。
永富・大石(2003)では、静岡県富士市で得られた2雌が、シマクサアブかそれに近似のものとして記録されています。
このようなデータから推測すると、西日本一帯(本州関東以西、九州、奄美大島)の低地ではシマクサアブのような斑紋の明るい集団が生息していて、中部から東北にかけての山地で雌腹部が広範に暗色のdecora-fulvipilosa群が生息している、という分布状態かもしれません。後者が大陸に広く分布しているO. czerskiiと関連があるということも考えられます。
以上のことも考えられますので、りゅうひさん、追加個体の採集に努めてみてください。
三枝先生
わかりました。
ちょっとがんばってみます。
今週末調査してきます。