別角度から
田中川様、こんにちは。
お尋ねの種は、アシナガバエ科のイソアシナガバエの仲間(Conchopus sp.)と思います。
詳しくないので、種まではわかりませんが、以前背面の模様である程度種がわかるような話を聞いたことがあります。
磯では珍しくない仲間ですので、他にも近似種がいるかもしれません。捕食性で、イソユスリカの幼虫を捕食している様子を何度か観察したことがあります。
私は画像で同定はできませんが、きれいな種ですので、撮影できましたら是非アップしてください。
役に立たないコメントですが、ちょっとだけコメントです。
Cochopusナミイソアシナガバエ属の種は雌ですと画像ではなかなか正確な同定がしがたいものです。これからが最盛期になるので、近くの磯で調べて、雄の画像(背面で翅が1平面的に見える写真と側面の写真)を撮影してみてください。
バグリッチさんが書かれているように、西日本の太平洋側の海岸では、この属に加えてAcymatopusムモンイソアシナガバエ属の種も含めて数種が一箇所に生息しているのが通例です。北隆館の新訂原色昆虫大図鑑第3巻に検索表を示してありますので、本書を参照できれば、参考にして下さい。
バグリッチ様、コメントありがとうございます。
イソアシナガバエとは、いかにも生息場所にふさわしい名前を持っているんですね。
潮干狩りの人たちを横目に見ながら、イソアシナガバエたちの捕食シーンを観察してみたいと思いました。
三枝豊平様、ありがとうございます。
オスを見つけに、また海へ行ってきます。
口吻の長いオスは未だに撮影できません。彼らは逃げ回ります。近寄らせてもらえません。
口吻の短い別種が同じ所に生息していました。雌雄で翅脈や背中の斑紋が異なっています。
別角度から
口吻の短い別個体です。
これらの画像からどこまで分かりますでしょうか。
よろしくお願いします。
Conchopus属の中で口吻が短いのは模式種を含むrectus群です。雄の中脛節がやや平圧され、画像でかろうじて長毛が直立しているらしいこと、雄の翅の中室の前縁脈が肥大しているらしいこと、などを根拠にすると、Conchopus borealis Takagiである可能性が高いと思います。
中室の前縁脈が細いのは、borealisではなくてより南方に生息しているrectusかもしれません。いずれにしても両種とも紀伊半島東海岸では正式な記録はないのでは。
しかし正確な同定には標本を必要とします。採集具があるようでしたら採集されて、新訂原色昆虫大図鑑第3巻の検索表を引いてみてください。磯は岩がぎざぎざしていてネットにかかりますが、なるべく岩ギリギリにネットを振ると採集できます。多分そこには3-4種はConchopusが生息しているでしょう。
C. borealis Takagiは関東地方から北海道にかけての太平洋岸に普通の種で、侵入過程は不明ですが最近は北米西海岸からカリブ海まで分布を拡大しています。北米西海岸には同じ生息場所にParaphrysilus属が分布していて、これとの競合関係が今後注目されます。
三枝豊平様、いろいろと調べていただきありがとうございます。
採集してからの標本同定も試みたいと思います。とにかく調べるのは好きですから。
引き続き、海岸へ通います。また何か見つかるかも。
田中川さんから標本が送られてきまして、No.5469-5471のものは当初推定したように、C. borealis Takagi でした。
また、No.5453の♂はこれまで同定できた2種、borealisとposeidonius類似種、との関係から判断しますと、四国から記録されたC. convergens Takagiではなかろうかと思っています。
このように本州から南西諸島にかけて日本海側を除く海岸にでは、一箇所の大きめの磯に数種のConchopus属の種やAcymatopus, Thambemyiaなどの岩礁性のアシナガバエが生息しています。
三枝豊平さま、標本の精査ありがとうございます。キタナミイソアシナガバエと確定しましたので、手持ちの標本を整理し、図鑑の記述もしっかりと読み解きたいと思います。
C. convergensについては引き続き探してみたいと思います。