ついに北海道も虫の季節になりました。飛ぶ昆虫はハエ・ハチが中心です。
自宅の周辺に飛んできたハエです。翅脈が見づらいですが羽の茶色いまだらが特徴的です。 羽は腹端をかなり越えます。このハエは何でしょうか。4月3日、札幌市、体長約6mm
新屋様.
以前私が尋ねたシマバエ科のHomoneura属の1種に似ています. [ No.4448 ]
茨城_市毛様
確認したところ、羽の模様はほとんど合致していますが体長がだいぶ違います。Homoneuraを調べると、 40種以上が記録されているとありました。そっくりで大きさがかなり違うという別種は時々ありますね。 意味はhomo(同じ)neura(翅脈。メガネウラのneuraですね)?翅脈が単調なのは自分でもわかりましたがその先は… ありがとうございました。
新屋様.
体長がだいぶ違うとのことですが,測り方が違うのではないかと思います. 新屋様の体長6mmというのは,頭部先端から翅端まで長さではないでしょうか? 双翅目の場合,体長は文字通り翅を含まない体の長さだと思います. この他に,翅の対角の長さを翅長と表すようです.
体長とは頭から腹端までの長さと心得ておりますが、それが、翅端までだと8〜9mmあるという大きさです。
けっこう大きいんです。
ハエの体長の標示についてはあくまでも目安とする程度にしたほうが良いと思います。
それは幼虫時の栄養状況などで大きな個体差が出てくる場合があるからです。(ヒメフンバエやニクバエなどではかなりの個体差があることを確認しています。) また当掲示板の過去ログにもありますようにこの手のハエの同定の基本はあくまでも翅脈であり、刺毛、剛毛の配列であり、♂ゲニタリアであり、ついで翅の紋がくると考えていただいた方が間違いが少ないです。(同定の際に、体長はそれほど当てにしてません。) 新屋さんもお書きのようにそっくりで大きさが違うと言う場合もままありますが、その際も、大きさが評価のポイントではなく、頭部や胸部、前・中・後の各脚の刺毛、剛毛が重要な同定のポイントになります。 頭部の刺毛の配列が見辛いですが、雰囲気から判断すると市毛さんの書かれるようにシマバエ科のHomoneura属の一種であろうと思われます。 シマバエ科については日本ではまだまとめられた図鑑はなく、個別の論文を精査する必要があります。Homoneura属については笹川先生の論文のA revision of the Japanese species of Homoneura (Homoneura) (Diptera, Lauxaniidae), シリーズのPart1からPart3までの論文と「東洋区シマバエ科(双翅目)第 1 報(農学) 」「東洋区産シマバエ科(双翅目)第 2 報 : ヴェトナムのシマバエ相」「 東洋区産シマバエ科(双翅目)第4報 ラオスのシマバエ相 」などを参考にする以外にはなく、これらを読んでみても、翅の紋のみで同定はかなりきびしい状況であり、結局は♂ゲニタリアをみなければ確定はできないというのが現状です。(専門家も少なく、画像のみだと相当きびしいグループなのです。) また井上 堅さんがシマバエ科の分類の属までの取り扱いの現状と、属までの検索キーの試案をネット公開してくれていますが、これも、翅脈と刺毛・剛毛配列が中心になっているはずです。よければご参照ください。 上記の論文はCiNiiで公開されていますので、そちらもご参照ください。
ヤドリバエで体長にかなり差が出るとは知っていました。他にもそうした例があるのですね。
>翅の紋のみで同定はかなりきびしい状況であり、結局は♂ゲニタリアをみなければ確定はできないというのが現状です。 例えば、東洋区シマバエ科(双翅目)第 1 報(農学) http://nels.nii.ac.jp/els/110000033109.pdf?id=ART0000360458&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1239533053&cp= をさっと見ると(家に電子辞書のような便利なものがなく)Homoneuraが17種ほど載っていますが、 全てどこかしこの色や翅の紋がほとんど同じか2、3通りしかないということでなかったり、 ミナミアオカメムシやナミテントウ並に1つの種で何通りもの色彩があるわけでなければ、外観で絞れる気がしますが… 初心者なもので文章で姿が具体的に想像できませんが、blackとbrownとyellowが多いものの差はあるようです。
サイドから一言。新屋さん、市毛さん、ハエ男さんがHomoneuraだろうとお考えのハエの写真による同定を巡って、論議されていますが、横で見ていて大変気になるのは、新屋さんはこのハエを採集されたのでしょうか?もし採集しているのなら、ハエそのものをメジャーで測定した結果の体長6mmと言うことであれば、その測定値も理解できます。
しかし、生きたハエの目測だけによる測定値であったとしたら、私の場合ではとてもハエの体長(しかも腹端は斑紋のある翅の下にボヤーと見えている)を肉眼やカメラのレンズを通してだけで、mm単位で正確に言い当てる能力はありません。もちろん人によってはある程度目から離れたものの長さをmm単位で言い当てる訓練をされているかとも思います。 しかし、新屋さんは「翅端までだと8〜9mmある」と言っており、そこにはすでに1mmの誤差の幅を読んでおられますね。さらに、写真に基づくと、体長がもし6mmであるとすれば、翅を含めた長さは10mmをやや越える値でなければなりません。新屋さんはその長さを8−9mmと言っていますので、8mmとしたらそこにはさらに2mmの誤差が生じています。 私はメジャーをもたなければ、長さを測る場合に、手のひらを一杯に開いた場合の親指と中指の先端の間隔が”約”20cmといえるのが精一杯です。今目の前で1cmの間隔を書いてごらん、と言われたら、おそらく2−3mmは間違ってしまうでしょう。ましてや、6mmと8mmの違いはとても言い当てられません。 この点を市毛さんやハエ男さんはどのように(というのは新屋さんの測定値にたいして、いささかの疑念ももたずにか、あるいはそれを承知の上でか)お考えになって、写真のハエのサイズについて論議されているのでしょうか?データの吟味の前にデータの信頼性の問題かと思いますが、いかがでしょうか。 なお、双翅目の場合に、腹部の余り硬くない種(腹部背板が軟弱で、腹部の節間膜が長い種)では、同一個体であっても羽化直後とか、満腹状態とか、卵巣の発達具合とか、その個体のいろいろな状態で腹部の長さ(結果的には体長)がかなり変わります。 また、オオミノガヤドリバエ(1頭のオオミノガ老熟幼虫に1-70頭が寄生する)やハマダラハルカ(変化の著しいネムノキの朽木の含水量)などのように、ある程度限りある餌資源量や餌資源の多様な質に依存し、幼虫の成長期が短い種では限定された期間内に生育を完了するために成虫のサイズ(翅長)にかなりの変異が現れます。一方豊富な、しかも質的に顕著な相違がない餌資源のなかで長い幼生期を成長するような種ではーー例えば渓流性のシブキバエ類(Clinoceraと近縁属)ーー成虫のサイズに大きな個体変異が現れません。 それと、これは大事なことですが、双翅目では種間などの相違として、なにより体の大きさの比較を行なうための指標となる構造は翅であって、この長さを用いれば同一個体でも状態で変化する体長よりもはるかに良好な指標になります(短翅型の種では、翅長は信頼できない場合もあります)。 個体変異について一例を示しますと、私が昨年の日本昆虫学会大会で講演し、今論文を書いているチーズバエ科の新属新種では♂の翅長が4.2mmから7.1mmまでの変異幅があり、翅長による最小個体は最大個体の6割に満たないほどの差があります。これは腐敗終期のミイラ化した大型動物のわずかに残存した水分の少ない骨髄や干からびつつある肉などを餌資源とせざるを得ない状況に依存した生育状態の相違によって生まれた結果であろうと思います。
>今目の前で1cmの間隔を書いてごらん、と言われたら、おそらく2−3mmは間違ってしまうでしょう。
指で1mmや1cmをつくれるのでそれをあてにしています。1cm以下なら誤差は1mm未満と思います…が やはり定規などは使うべきですね。 写真は横から撮れませんでしたが横から見ることはできて、その時6mmくらいと思いました。 しかし全長8〜9mmという値は少なすぎました。あてにならないことは書かないべきでした。 採集に関してはhttp://furumusi.aez.jp/joyful1/joyful.cgi?list=pickup&num=5372#5372に書きました。 |
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