同種の拡大写真です。
このヤリバエは新訂原色昆虫大図鑑第3巻の2402番のウスグロヤリバエの項の末尾に記述した本種の近似種です.両種はしばしば同所的で,場所や季節によって両種の個体数の比はかわります.
なお,2403のクモスケヤリバエの記述のかなりの部分は編集・校正段階のミスでグンバイヤリバエの記述とダブっていますので注意してください.申し訳ないことです.早めに正しい記述をこの欄に投稿します(以前に夏までに投稿するとか言いましたが,まだできていません,無責任な言い方ですが来年の夏くらいに考えておいてください).分布も九州が入りますし,また冷温帯から暖温帯まで生息します.雄の後脛節がやや肥大し,強めの毛を密生することが和名の由来でしょう.種の検索表のところでは本種に正しい記述がしてありますので,検索表だけに限れば問題がありません.
三枝豊平様
早速のご教示に 心より御礼申し上げます。
ウスグロヤリバエの項の末尾の種は気にはなっていましたが、そう簡単には見つからないと思っていました。
クモスケヤリバエの期日の件は過去ログにて確認しておりました。ご注意いただき感謝申し上げます。
採集地点付近では夏にクモスケも採れていますので、合わせて5種のヤリバエの分布が確認されました。似ていますがいろいろいることがわかり、楽しいです。
今後とも 宜しくお願い申し上げます。
ヤリバエ科の日本産の種はいずれも幼生期がわかっていません.調べたいところです.
ハコネヤリバエは山腹に主に生息しますので,これは地上の腐葉土中に生息することは疑いないと思います.
一方,少なくともクモスケヤリバエとウスグロヤリバエは渓流の石上や水でじゅくじゅくした林道の路面などで良く採集されますので,おそらく淡水性かと思っています.
高層湿原のような場所ではヤチヤリバエの生息地ですので,このような場所を狙うと本種が採集可能です.かなり遅くまで発生します.
ツマグロヤリバエも山腹に生息し,山地性(本州ではほとんど亜高山性)で,埼玉ではおそらく奥秩父山系で発見される可能性があるのではないかと思います.
ヤリバエ類の雄の前付節は種特異的に変形していますが,この部分は交尾の際にメスの翅の前縁を掴むのに使っているのをウスグロヤリバエで観察したことがあります.本種は産卵と1齢幼虫まで得たことがありますが,以後の飼育に失敗しました.
三枝豊平様
幼生期に関する興味深い情報をありがとうございます。
私の持っているヤリバエに関する知見は極めて少ないのですが、ウスグロヤリバエは近所の平地(関東平野の真ん中)の雑木林で採集することが出来ます。
ここは、川からは遠く、また水湿地からも数百メートル離れた場所で、アズマネザサの中を通る小道です。
このわずかな知見に限ってみますと、幼生期が腐葉土中の可能性もある、という考えも捨てきれないかも知れないと感じてしまいます。
残念ながら、近年、大幅に伐採され、あまり採れなくなりましたがまだ辛うじて生息はしているようです。
幼虫の確認はかなり難しそうなテーマですが、意識して観察したいと思います。
引き続きご教示のほど 宜しくお願い致します。