背面図
単眼はあります。
翅脈のスケッチ
M脈基幹は無いようです。
おまけ。
樹皮に開いた穴に入っていた蛹の殻です。
耳付き〜〜^^;
(呼吸角でしたっけ?)
おそらくこの種の蛹だと思います。
連貼り失礼しました。
よろしくお願いします。
Aclerisさん.三枝豊平です.
大変面白い画像を拝見しました.写真では断定的な判断はできませんが,胸部背面の斑紋と翅脈の図から判断しますと,もし小腮鬚が1節でしたらAsioditomyia japonicaの可能性があります.
いずれにしましても,本属の幼生期は未知ですし,蛹殻は本科の系統を論じるうえで重要な形質です.また,同定は交尾器を検する必要があります.
本亜科の系統を研究中です.もし,宜しければ蛹殻共に借用させていただければ幸いです.
810-0035 福岡市中央区梅光園2-7-1-402 三枝豊平
三枝先生、コンニチワ。
ケヅメカであっていましたか。ホッ。
属の検討までしていただいてありがとうございます。
>本亜科の系統を研究中です.もし,宜しければ蛹殻共に借用させていただければ幸いです.
私は、特に標本を持っておく必要を感じないので、喜んでさしあげたいと存じます。
来週早々にでも送付したいと思います。
日曜日が休みなら、また行ってきます。
追加個体が採れればよいのですが、、、、、
写真の虫は、乾燥して台紙貼りにしたのですが、
双翅目の場合、グループによって望ましい標本形態があると思うのですが、どうなんでしょう?
液浸の方がよかったのでしょうか?
微針に刺すだけでよいとか?
1週間経ってますので、採れるかどうかは判りませんが、リクエストがあったらおっしゃって下さい。
メールアドレスを記入しておきました。
Acrelisさん.標本をお送りくださるとのこと有難うございます.
ケヅメカ科のなかで,Symmerusはかなり硬い朽木の表層近くに通常は材の長軸にほぼ平行の坑道を掘って生活し,羽化の時には朽木の表面を坑道直径に沿って円形に切り取り線をいれて,ここを押し開けて蛹が前半身を乗り出して羽化します.Ditomyiaはキノコ類から,Asioditomyia japonicaはLenzitesのキノコからえられています.しかしこの属の幼生期の形態の記録は見当たりません.もし,今回の種が本種ですと,同一場所ではさらにキノコ類から得られる可能性があります.私は本種をすべてスイーピングで採集していますので,その生態についてはこれまで観察したことがありませんでした.
本科の蛹は顕著な呼吸突起を持っていて,その形状がかなり多様です.写真で見ますと,このような丸みを帯びた呼吸管はSummerusには見当たりません.
Symmerusはキノコバエ類としては珍しく昼行性で,雄は発生木の朽木の周囲を,これにかなり接近して飛翔しながら雌の羽化を待ちます.飛んでいる状況はキノコバエ類としてはかなり飛翔速度が速く,小形のヒメバチかベッコウバチが低く飛翔しているような印象を受けます.DitomyiaやAsioditomyiaの行動は観察したことがありません.
Dipteraの標本のことですが,私の標本はほとんどすべて乾燥標本の貼り付けです.三角台紙への貼り付けもありますが,おおくは志賀昆虫普及社の微針を短く切断して,その頭に木工ボンドで胸部右側面を貼り付けて,それを4号針に挿した賽の目のペフ板片に挿すダブルマウントを行なっています.
かなり大型の場合は直接胸部背面のやや右側を貫通するように細い針または微針で挿した,針挿し標本にしています.
液浸標本がいいのかどうか,と言う議論は世界の双翅学者の間で一時論議されました.液浸のデメリットは保存液によって特にエタノールの場合は数年以上経つと明らかに脱色が起こって,色彩斑紋の識別が困難になる点です.おそらく何らかの前処理をして60-80%のグリセリンに保存すれば褪色はかなり避けられると思いますが,今度は材料が硬化すると言う批判があります.それと,液浸標本の場合はデータの異なる標本を同一瓶に保存できないこと,同一データでも種ごとに瓶を替える必用があること,瓶の整理や保存場所をとることなどの難点があります.栓が不完全であると,液漏れが生じ,最終的には乾燥ないしカビが生えます.液浸でいいことと言えば,良く保存されている場合に形の崩れがないこと,交尾器や口器の概形がそのままで観察できることなどではないかと思います.徳永雅明先生のユスリカの液浸標本はほとんど脱色されているとか言われています.一方,北上四郎先生のアミカの液浸標本のかなりの数の瓶で液の乾燥が起こって,これからこれらの標本をどのように扱うかが大きな課題です.
キノコバエの場合は,多くの種が同時に多数個体が採集されますので,乾燥標本と液浸標本を両方作っておくと,概形や斑紋で両標本の同一性を判断し,液浸標本で交尾器などをKOH処理をしなくても概形を観察する,ということが可能かと思います.
なお,三角台紙などにマウントする場合には,右側面に糊付けすることによって,頭部が左,腹端が右,背面が向こう側,腹面が手前となり,多くの作図では頭部や交尾器などが左側面を描いていますので,それとの比較が容易になります.コウチュウやハチのように左側面に糊付けして,針の左側に標本が来るように台紙を挿し,頭部が向こう側,腹端が手前側,背面が左(外)側にくるようにすると,右手で針を持つと扱いやすい面があるので,一部の人はこのようなマウントをされています.
Aclerisさんから標本を送っていただいて,雄交尾器などを検討した結果,Ditomyiaの1種であることがわかりました.本属は日本からは既知種は1種D. claripennis Saigusaだけで,このほかに2種が生息していることを知っています.今回の種はこれら2種とは異なり,ロシア極東の沿海州から記載されたDitomyia carinata Zeitzevとほぼ雄交尾器の形状が一致するので,この種またはこれに極めて近似した種ということになりました.神戸市の低地のようなところでこのような種が得られたことは驚きです.
本科はなかなか成虫が採集しにくいもので,今回のようにキノコから飼育して羽化させることで,今後も新しい種が得られる可能性が高いと思います.
今回の標本の雄交尾器を掲載しておきます.
三枝先生、お忙しいところ、詳細な検討ありがとうございます。
また、標本状態についてのご教授ありがとうございます。
やはり、保存性の点で乾燥標本がベストと言うことですね。
しかし、神戸のような都会で、まだ未記録種が採れるというのは、双翅目はふところが深いです。
材から出るような双翅目は、甲虫屋さんなどが材採集で目にする機会も多いと思うのですが、何かネットを通じて連携が取れるようなことが出来るとイイですね。
別スレッドのKeroplatusも含めて全く急ぎませんので、お時間の取れるときによろしくお願いします。