市毛さん.これは推定されたとおりRhamphomyiaのidei群の1種です.この群は北米東部に50種ほど,西部に唯1種(未記載で1雄のみ),東アジアは日本にideiとshirayukiの2既知種の他に奄美大島やこの種も含めて7種,台湾に既知種1種,中国大陸に未記載種数種,インドシナ半島北部に既知種1種が生息しているやや典型的な北米東部ー東亜隔離分布型の群です.本種は本州中部の長野,山梨両県の1500m前後の産地にこの時期に発生します.個体数はshirayukiなどに比べるとずっと少なく,私はサンザシ類の花で採集したことがあります.
この群は知られている限りすべて花蜜食性で,北米では種毎にある程度訪花植物が決まっているようです.
中室の前縁を走る翅脈が弱化するので,Amydroneura亜属に分類されることもありますが,これとは別群で,ヨーロッパには分布していません.
本種は雄交尾器の背板葉がほぼ半円形になるのが特徴です.個体数が少ないので新種として記載する時には標本をお借りできれば幸いです.
アノニモミイア様.
早速の書込みありがとうございます.
カエデの花でハナアブを採集していたので,その際に入ったものと考えています.
標本については,後日送付したいと思います.
追伸:市毛さんの4554のRhamphomyiaに対する返信で,idei群が日本列島で7種と書きましたが,記憶違いで9種です.近々数年で九州山地で新しく2種が採集されていますから,まだまだ多くの種が日本列島に局所的に生息していると思います.
知られている限り,この群の種は林内の陽射しがあるようなスポットの比較的低い位置(1−2m以下)で群飛します.銀白色の小さな粉のようなハエが乱れ飛ぶように直径50cm前後の空間で群飛します.R. ideiのように早春に出現するものもありますが,shirayukiのように寒地や山地では夏季に出現するのもありますし,九州の低山地ないし山地でさえも6月から7月にかけて出現する種がありますので,これからがシーズンです.
日本での訪花植物は,サンザシ類,カエデ類,ヤマブキショウマ,キンポウゲ類などです.祖母山などでは春に無数の個体がカエデで吸蜜しているのを観察したことがあります.
アノニモミイア様.
すばらしい写真ですね.
手ごろな花があればと思ってカメラは持ち歩いているのですが,撮影出来そうな低い花にはハチしか飛来していないので全く撮影していません.
少し古い記事ですが.市毛さんに,「すばらしい写真ですね.」とかお世辞をいただいたので,その返事です.
折々素晴らしい写真をお撮りになっている方々からいろいろと撮影機材など教えていただいて,余裕もないのにそれらを購入して使ってきましたが,結局使い慣れた10年ほど前に発売の(たった)3.34メガピクセルの古いCOOLPIX 990で撮るのが私にとっては一番のようです.
少し球面収差がでますが,レイノックス製の3種類の接写レンズ(ビデオカメラ用のミクロ探検隊に付属している)や,10×,20×の実体顕微鏡用の接眼レンズの差込側(見るほうとは逆の開いている開口部)にレイノックスのPFR-028というプロテクターフィルター(まだ購入可です)を粘着テープで固定して,これをカメラのレンズのフィルターメスネジに捻じ込んで固定して,標本の接写などを行なっています.図鑑などの私の写真はすべてこれで撮影したものです.このカメラは大概の顕微鏡(実体顕微鏡,生物顕微鏡問わず)の接眼レンズにカメラ本体のレンズを密着すれば,顕微鏡撮影が可能ですので,便利に使っています(実体顕微鏡は大概は絞りがないので焦点深度は浅くなります.Heliconfocusで複数画像を合成する方法もありますが,カメラが顕微鏡に固定していないので,画像がずれて難しい).キノコバエの翅脈の写真などもすべてこの方法で撮影しています.
通常の撮影でも接写レンズをつけなくても,被写体から4cm離れて最大光学ズームで画面の横幅が被写体の2cmに相当するまで撮影できますので,このカエデの花を吸蜜しているRhamphomyiaもこの方法で撮影したものです(この写真は少しトリミングしています).レンズ部とモニター部が回転するのもこの機種の便利な点です.
もっと高級のカメラと優れた拡大能力--6倍拡大が可能のもあるそうですが--のあるマクロレンズが入手できて,これを使いこなせればいいのですが,当分は汎用性の高いこのクラッシックデジカメを大事に使おうと思っています.中古では1万円以下で購入できるようです.しかし,今年1月段階でニコンは部品の提供を終了しているそうです.