2種目です。標本状態がよくありませんが、ツマグロヒゲボソムシヒキ(メス)の餌になっていたためです。自力では採集できませんでした。
後腿節、各基節は全体黄色。翼状突起の先端に足首状突起がある。挿入器は強く湾曲しない。後腿節の前腹剛毛は中央部で弱くなる。
以上の各点で検索表の既知種とうまく一致しません。
亜属は検索表がないのでよくわかりませんでしたが、交尾器の形状から2種ともCalorhamphomyiaと思われます。
3種目はうまく写真が取れませんでしたので、また後ほど投稿します。
画質が悪く、足の毛などがはっきり写っておらず申し訳ありませんが、わかりましたらよろしくお願いします。
Argeさん.1種目は推定されたとおり,complicans群の未記載種で,岐阜県の天生峠から兵庫県北部の氷ノ山にかけて,中部から中国地方の境界部の日本海側に広く分布しています.挿入器の三角形の突起が重要な特徴です.私は系統的にはR.(Calorhamphomyia) itoiにもっとも近縁であると推定していまして,itoiが瀬戸内地方(近畿地方,中国地方,四国)に生息しているのとは対照的に日本海側に分布します.本種については多くの方々から標本をいただいていますが,私自身は残念ながらまだ野外で観察したことがありません.配偶行動や求愛餌の種類などがわかると面白いのですが.R. complicans群のなかで,pretiosa亜群の種(pretiosa他ーー昆虫と自然40(9),「高山性昆虫とは」でpretiosa群として示されているもの)は地上1mくらいの低位置で群飛しますが,complicans, itoiなどはかなり高所(2−3m以高の空間)で群飛します.第1の種がどのような群飛を示すか,本種の系統的位置を占う上でも重要な資料になります.
第2の種は第7腹節腹板の翼状突起の形状が写真ではちょっとわかりにくいのですが,産地とaedeagusの湾曲具合から推定すると,恐らくR. (Calorhamphomyia) issikii Itoに最も良くにています.実物を見せていただければ,もっと正確なご返事ができると思います.
アノニモミイアさま。いつも詳細な説明をありがとうございます。
第1の種については林道脇や、小さな沢沿いの植物上に止まったり飛んだりしている程度で、残念ながら配偶や群飛、採餌などの行動は確認できませんでした。
第2の種については後ほどゆっくり検討してみます。
写真は第3の種です。脚と腹部は全体黒色で、既知種の検索表をみるとR. pteropygaあたりになりますが、交尾器を見ると挿入器の基部近くに内向きのやや長い突起があります。既知種の交尾器の写真にはこのような突起はありませんが、単に写っていないだけなのでしょうか。
よろしくお願いします。
第3のCalorhamphomyia亜属の種は推察されたとおりR. pteropygaにやや近縁の種で,R. ladasやあと数種と共に1群を形成して,この群は主に西日本に分布しています.
本種は私が”分岐した尻尾”の意味の学名で新種として記載する予定にしている種でして,紀伊半島(奈良),近畿(京都,大阪,神戸)のほか,四国,九州中央部の山地に広く分布している種です.
原記載に用いる予定の図を参考に添付しました.容量が小さいので細部はシャギーが出ると思いますが,この図と比較してみてください.兵庫県山地でも採集されていますので,第3の種は間違いなくこれだと思います.
雄交尾器の挿入器の分岐した部分は,異状ではなくて,本種の重要な特徴です.これにもっとも近い種では分岐こそありませんが,本種で分岐部している箇所が強く屈曲しており,本種ではここがさらに伸長した結果であると思います.
本種に限らず,Calorhamphomyia亜属は挿入器が複雑に屈曲したり,奇妙な突起を生じており,これらが交尾の時に雌の交尾器とどのような対応をするかが興味あるところです.
これから7月中旬にかけて,近畿,中部以北の山地でCalorhamphomyiaが発生する時期です.多くの分布データが集積されることを期待しています.生物地理,種分化,配偶行動などいろいろと面白い問題を含む亜属でして,しかも大型なので観察しやすい面を持っています.
アノニモミイア様
未発表の図まで出していただき、まことにありがとうございました。第3の種はこの種で間違いないと思います。
第2の種もご指摘どおりR. isshikiiと思われます。挿入器の先端部が隠れていたので、湾曲していないと見間違えてしまったようです。
また近畿の山等に行く予定もありますので、できるだけオドリバエの分布データ等も集めておきたいと思います。
ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。