市毛さん.アメイロオオフンバエと第2の近似種を図示します.胸部は背面は左からアメイロ,ニセアメイロ, 近似種2の順です.
これら3種は北アルプスでは同所的です.アメイロは中国地方には分布しますが,四国と九州では私はニセアメイロしか採集していません.近似種2はやや小形でより一層ずんぐり型.第5腹節腹板の突起はアメイロに似て太く,ニセのように開き気味です.
アメイロと近似種2は長野島島谷岩魚留,ニセアメイロは福岡英彦山,いずれも10月上旬,中秋の採集品です.
これらの生息地には大概ウバユリが生育しています.これが幼虫の食餌植物かもしれない,と現地で思ったことがあります.多分当っていないでしょうが.
アメイロの全形と第5腹節腹板突起です.
ニセアメイロと近似種2の側面です.
3種は次ぎの検索表で分離できると思います.
1.中胸背の側部の黒帯は単一で分離しない;腹部は長く,第1+2腹節背板長は胸部長の0.9弱・・・2
中胸背の側部の黒帯は横線後域で上下の2帯に分離する;腹部は短く,第1+2腹節背板長は胸部長の0.6・・・ヨスジアメイロフンバエ(仮称)
2.中胸背の側部黒帯の内縁はdc刺毛列よりはるかに離れている;雄第5腹節腹板の突起は相互にあまり離れない;翅のm-m横脈は暗条で囲まれない;前額に暗縦条を欠く・・・アメイロオオフンバエ
中胸背の側部黒帯の内縁はdc刺毛列にほぼ接する;雄第5腹節腹板の突起は相互に大きく側方に離れていく;翅のm-m横脈は暗条で囲まれる;前額に通常は暗縦条を現す・・・ニセアメイロフンバエ
アノニモミイア様、市毛様
大変勉強になります。 便乗質問です。
画像は、以前、埼玉の山地で撮影したアメイロオオフンバエの仲間です。たしか8月のお盆休みでした。
画像からははっきりしたことは言いえないですが、前額に暗縦条を欠くように見えるので、アメイロオフンバエの可能性があるように思いましたが、背板の縦条の様子はニセにも見えてしまいます。(上下は たしか同じ個体です)
いかがでしょうか?
・・・この頃は まだ採集していなかったので、辛いです。
これとは別に、昨年は6月末に、埼玉の丘陵地で1頭採りました。 この標本は、今手元に無いので、どれだかわかりません。残念です。
バグリッチさんの1頭だけの雄の写真はちょっと判断が難しいのですが,交尾中のものはアメイロだと思います.ヒセの方は真横から見ると中胸背の中央部の淡色部がほとんど見えなくなります.写真では少なくとも雄は真横のアングルで,背中部の淡色部が広く見えますし,またdcと思われる刺毛があって,その基部まで黒色部が延びていないように見えます.
上の個体は確か前額に黒条を欠いていますが,中胸背の黒帯がかなり幅広い印象を受けます.それに翅のm-m横脈が暗色のようにみえますし,ニセの場合には翅端近くで翅脈の周囲が暗色になります.このような特徴が写真でやや見えるように思えます.しかし,第5腹節腹板の突起のような物が見えていて,これが淡色で幅広いような感じもします.
私が第3の種を載せましたように,まだ確認されていない種があるかもしれません.是非今夏採集してみてください.
アノニモミイア様.
早速の解説と,わざわざ写真まで撮影して頂きありがとうございます.
アメイロの基産地は隣の栃木県日光なのですが,茨城はニセアメイロばかりです.標高が足りないのかもしれません.
日本産のトゲアシフンバエ属Norellisomaは,Hironaga & Suwaの2種を加えて4種で打ち止めと思っていたのですが,第5の種がいたのですね.
ありがとうございました.
アノニモミイア様、市毛様
細部にわたる ご教示に御礼申し上げます。
アメイロオオフンバエ類は、今年の目標のひとつにしたいと思います。
引き続き宜しくお願い申し上げます。
俄か勉強はボロがでます.北アルプスのニセで前額に黒条を欠く個体に気付きました.ですから,バグリッチさんの雄だけの個体はあるいはニセかもしれません.本州のほかの地域のニセを持ちませんが,四国と九州のにははっきり黒条があらわれます.
4561の検索表は修正しておきます.
これは何でしょうか。2009年8月29日青森県下北半島で撮りました。
ニセアメイロオオフンバエには前額に黒条を欠く個体も本州中部ではあります。写真の個体はこの特徴を欠き,かつ胸背側面の黒条の内縁がかなり中央よりになり,かつ小楯板側部も暗化しているようですから,恐らくニセアメイロオオフンバエである可能性が高いと思います。もし,この個体を採集されているのでしたら,写真から判断するとオスらしいので,第5腹節腹板の突起を調べるとより正確に同定できるかと思います。
三枝豊平様、ありがとうございます。(この個体の採集はできませんでした。)