ブナやホオノキのようになめらかな樹皮上で、走り回ってちいさな虫を捕食しており、交尾も見られました。体長は♂は4ミリくらいです。2008年5月17日青森県下北半島の山にたくさんおりました。お教え下さい。捕食されている虫も見当がつきますでしょうか。
これはオドリバエ科のTachypeza fennica Tuomikoskiクロテンカマアシハシリバエです(研究者によっては別科Hybotidaeセダカオドリバエ科を建て,これに分類します).北隆館新訂原色昆虫大図鑑第三巻,p.407に解説があります.餌は写真だけでは良く分かりませんが,複眼が大型であるらしいこと,腹端の形状,大きさから勝手に判断しますとSciaridaeクロキノコバエ科の1種の雌ではないでしょうか.
Tachypeza属はT. heeri Zetterstedtを含めて日本に数種分布しています.これらの種はいずれもブナなど樹皮表面が平滑な立木や樹皮がはがれた立木,山中の山小屋などの木の壁,ベンチなど上に生息し,そこに飛来,あるいは歩行する小昆虫を餌にしています.求愛給餌行動や群飛は行ないません.走行速度が非常に速いために追っても走り回って逃げ,いよいよの段階で始めて飛びます.翅の臀葉の発達が悪いために飛翔速度は遅く,ゆっくり飛びます. 幼虫はヨーロッパでは朽木や木のうろから採集されています.日本でも朽木などの倒木が堆積した部分では,羽化直後の体が着色していない個体がしばしば採集されますので,一部の種は少なくとも,このような環境に生活し,そこで恐らく小昆虫の幼虫などを摂食していると思われます.いずれも年一化です. 下北半島にたくさん生息しているようでしたら,一部採集しておいていただければ幸いです.
アノニモミイア様、ありがとうございます。現場で見たときは捕らえた獲物を前足で抱えているように見えたので、ややカマバエ的な足と思ったのですが、実体顕微鏡でみれば膨らんでいて少しだけ鎌っぽいなと感じていました。和名そのものに納得しました。獲物を吸汁しているときの映像を見てみますと大半は前肢を全く使っていない状態でしたが、左の前肢だけを鎌のように使って抱え込んでいるのが1シーン写っていました。獲物を刺しているときに、幹ごと加減しながら平手打ちしてとりあげた獲物には極小のハチの一種もおりました。標本は近日中にお送りします。
追伸です。両前肢で獲物をかかえているところが写っていましたので追加します。ここにその動画をのせておきました。http://snowmelt.exblog.jp/7964104/
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