同,交尾器です.
そのうちにこういう難しいのが出てくるのではないかと心配しておりました。
Trichocera属であることは疑う余地がないのですが、このように特徴の少ない種がいくつもあり、これは難問です。しかし、触角が短く、翅のR2+3脈が短いこと、交尾器の形状から、私がニッポンガガンボダマシTrichocera japonica Matsumura, 1915と同定しているものと同じように思えます。ニッポンガガンボダマシは日本から最初に記載された種で図鑑などにも出てくるため、よく知られた名前なのですが、どの種が本当のjaponicaなのかは判断が難しいのです。Matsumuraの原記載文では、体がこげ茶色で触角が細い、と言った程度のことしかかれていない上、タイプの行方が不明です。徳永1938にはタイプを検したとの記述がありますが、京都府大のコレクションにもタイプは含まれていませんでした。
北大には松村先生本人によってT. japonicaの記載以前に採集されたTrichoceraの雌が5頭あります。私はこの雌たちによく似ていて(タイプでないにしても記載に際してはこの標本も参考にしていたであろう事を考慮しました)、徳永1938の記述にもよくあう種を暫定的にT. japonicaと同定しています。なかなか自信は持てませんが、今のところ精一杯の策だと思います。
回りくどい言い方をすると、市毛さんの写真のガガンボダマシは「達磨がT. japonicaの可能性が一番高いと考えている種によく似ている(あるいは、、と同じ種と思われる)」と言うことになりますか。
達磨様.
どのグループでもタイプ標本の行方不明はあるのですね.
ありがとうございました.