舘博士は身近から転居しましたので気軽に聞ける状況ではなくなりました.
私はヤドリバエ科はまったくの素人ですが,次は参考になるのでは. この写真の種はしばしば採集できますが,戦後発行された手元にある図鑑類にはみられません.しかし,松村先生の新日本千蟲圖解巻之二(1926),394-395,pl.XXII,Fig.22で記載されているHemyda nigrata Matsumuraクロヒゲナガハリバイ(原綴による)ではないでしょうか.この種がその後どのように扱われているか知りませんし,日本産昆虫総目録にも掲載されていません.しかし,同書にクロヒゲナガハナバエの和名でHermya beelzebul (Wiedemann, 1830)[Tachinidae, Phasiinae, Hermyini]が掲載されていて,Phasiinaeはしばしばハナバエの和名で呼ばれますので,和名的には同一のものかと推測します.この種は中国蝿類下冊にも載っています.この検索表でも写真の種はbeelzebulに行きます. HemydaとHermyaは共にManual of Palaearctic Dipteraにはでていましすが,中国蝿類には後者のみです.ManualではHermyaは触角第3節が大変ながく,翅が黒色であるとかかれています(First flagellomere at least six times as long as pedicel. Wing entirely darkly pingmented). ご参考までに.
舘博士にメールでお尋ねしたところ,私が上記のように推定したHermya beelzebul (Wiedemann, 1830)であるとのご返事をいただきました.市毛さん名前がわかってよかったですね.Tachinidaeも本種のように顕著な特徴がある種はまだ何とか写真でわかりそうなので,専門家に無理をいえますが,そうではないのは写真では同定不可能のようです.この点はご留意ください.
「写真のヤドリバエは,先生の推察通り,Hermya beelzebul (Wiedemann, 1830)です.カタログによれば,松村先生のかかれたHemyda nigrataは,この種のシノニムです.和名に関 しては,私自身使いませんので詳しくは分かりませんが,日本産総目録のまま(クロヒゲナガハナバエ)使うのが,現状では混乱が少ないと思います.ちなみに,Hemyda属[Phasiinae, Cylindromyiini]も旧北区に広く分布しており,2種が 記録されています.」
アノニモミイア様。
わざわざ舘博士に問い合わせて頂き、ありがとうございました。 |
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