同定されたとおりElaphropezaの1種です.ElaphropezaはDrapetisの亜属とされているものもありますが,最近の傾向は属扱いです.同様にCrossopalpusも属として扱われています.本属の方がElaphropezaより画然としています(頬が明瞭,触角第2節の下面剛毛の発達など).Drapetisでは後頭部が広範囲に胸部に密着するようになっており,Elaphropezaでは後頭部が円く膨大するので,頸が明瞭です.また,Elaphropezaでは後脛節に背面剛毛を持っている点もDrapetisとの区別点と考えられます.
本属は主にアジア熱帯から亜熱帯にかけて著しく繁栄しているもので,一地方から数10種が採集されるとも言われています.日本列島もその北端部に相当するので,10種あまりが分布しています.記録されたものは(sp.としてですが)以下の文献にあります.(三枝豊平,1964.八重山群島のオドリバエ科について.九州大学海外学術調査委員会学術報告,(2):173-178)
本属は日本列島ではどちらかと言えば草原のオドリバエで,夏に草原,畑のあぜ道,土手などを繰り返しスイーピングすると採集できます.繰り返すのは一度掬っただけでは地表近くで活動している個体が草の上部にきたり,舞い上がらないので,二度三度の振りでネットに入れることができます.これはCrossopalpusやStilpon (日本に3種確認しています)でも同様です.
Elaphropezaは東洋熱帯からかなりの種が記載されており,また中国からも記載されていますが(Sinodrapetisという新属も),既知種の正体がまだ判然としないので中々記載に着手したがたい面があります.
今回の国際会議ではGrootaertがシンガポールの本属の解説をしており,同地ではマングローブ林でも固有種があるそうです.
アノニモミイアさん、こんにちは。
詳細にわたるコメントに厚く御礼申し上げます。
この個体は、茂みの中のキノコの付いた朽木に止まっていたもので、とても不思議な環境でした。
かなり難しい種群のように感じますので、まずは 色々な個体を集めることから始めたいと思います。
ご教示いただいたスイーピングのコツも頭に入れて 成果をあげたいと思います。
引き続き宜しくお願い申し上げます。