写真その2です
UG 様.
御推測のようにオドリバエのメスです.
Rhamphomyia(Megacyttarus) brunneostriata
ケズネイミャクオドリバエの♀と思われます.
和名のように,♂は中脚に多数の毛を備えます.
絵解き検索のcouplet3で「.または中室は翅の後
縁近くまで拡大する」に従い,4へ進んでください
(オスは普通の翅脈です).
市毛様ありがとうございます!
なんと、そういうことだったのですね。
ここまで雌雄で差があるとは知りませんでした。
大変勉強になりました、今後ともよろしくお願いいたします。
市毛さんが回答されているように,R.brunneostriataの雌です.Megacyttarus亜属については,日本産水生昆虫第二版の1488ページに詳しい解説と図があるので,図書館などで参照してください.この亜属は雌雄で翅脈相に顕著な相違があります.
なお,この種の雄には中脚の形状に2型があり,1型では中脚が肥大して毛が密生しています.あるいはこの形状は雌を騙す(求愛餌を持っているかのように)適応かもしれません.この時期低山地の流れの近くの林道や流れの上などの地上2mくらいの空間で2−3mの水平往復群飛(行きはジグザグ,帰りは直線)をしているので,観察は容易です.
三枝様、コメント頂き有難うございます。
>この形状は雌を騙す(求愛餌を持っているかのように)適応かもしれません
非常に興味深いです。当個体はちょっとした渓流よりすこし離れた狭い山道で捕りました。群飛していましたが、飛び方までは見ていませんでした。次は是非観察してみます!
Megacyttarus亜属は,大部分の種で雄がHilara属と同様に水面を滑走するように飛翔しながら水面に浮かんでいる,あるいは羽化してきた小昆虫をとらえてそのまま(Hilara属のように前脚第1跗小節からの繊維で包む行動をしないで)雌へのnuptial giftにします(R. (M.) sororiaは多分nuptial giftなしで交配).数年前に福岡市内の流れや水面が近くに全くない林内で,brunneostriataの群飛が見られ,ここでは雄中脚が肥大して長毛が生じる型(monstrosa)が大部分でした.Nuptial giftを持っていたかどうか,不覚にも調査しなかったのですが,機会を見て,まだ群飛が形成されるのであれば調べてみたいと思っています.オドリバエのRhamphomyia, Empis, Hilaraの3属はnuptial giftを与えて交尾する種が多いので,群飛形式,群飛場所,や贈り物の種類等を観察すると興味が尽きません.
Megacyttarusの配偶行動で書き忘れたことがあります.EmpisやRhamphomyiaでは交尾が始まると,ペアは近くの枝や葉に静止して交尾を続けます.しかし,Megacyttarus亜属のRhamphomyiaは例外的に交尾中も飛翔を続けます.この亜属の群飛の下の空間をどちらかといえば漂うように飛んでいるのがペアです.このような行動はHilara属では一般的なものです.雄の採餌行動とペアの空中飛翔が連携した形でRhamphomyia属のMegacyttarus亜属とHilara属に見られるのは,偶然だろうとは思います.なお,Rhamphomyiaの中でもR. (Eorhamphomyia) jesoensis Matsumura (=sanguis Frey)エゾホソオドリバエでも飛翔交尾が見られます.