諏訪の入笠山で撮影したアリノスアブです。
雌雄とも体はエメラルドグリーンの金属光沢を持ち、胸背は黄色系の長毛に覆われています。腹部は第3節以降が黒っぽく、淡色の毛に覆われる第2節と対照的です。 「日本のハナアブ」のシリグロアリノスアブや、「札幌の昆虫」に掲載されているニシキアリノスアブあたりに似た感じですが、区別点が分らないので困っています。
撮影・採集地点は、入笠山のひとつ南の山頂(1960m)です。当日(7/6)は曇りがちだったせいか、動きは不活発でしたが、個体数は結構多く、交尾ペアを5組は見ました。
標本のgeniの画像(側面)です。 教えてください。
私にもわかりません.
「札幌の昆虫」の生態写真を見ても判るように,生時と死後とでは胸背の色彩が著しく異なるため,生態写真では余計判りません. 同定については,下記の文献の検索などを読んでみて下さい. http://ci.nii.ac.jp/naid/110004702065/en/ ざっと見た感じでは,ミヤマアリノスアブとニシキアリノスアブが非常に近縁なようで,腹部の黒色毛の分布もほとんど同じですが,生時の胸背の色が全く異なります. 本州編の検索が出ないと,山岳性の同定は難しいようです. なお,アリノスアブ亜科の交尾器は,外見が非常に酷似しているので,殆ど検討されていないようです. 内部構造を緻密に検討すると,同定に使用出来るかもしれません.
市毛様。いつもお世話になります。レスが遅れて申し訳ありませんでした。連日30度超の千葉と都内の現場を渡り歩いておりました。
生態写真と標本写真では全く雰囲気が変わることは多いですね。標本写真を添付します。まずは、♂の背面です。 小楯板には1対のトゲがありますが、トゲアリノスほど目立ちません(写真では分らないです)。腹部の第2節から第3節は黄色の長毛に覆われ、第4節は前半がほぼ黒色短毛で覆われています。
最後に触角です。
第1〜3節の比は3:1:2です。 先に添付したように、surstylusは細長く、中央部に切れ込みがあります。 これらの特徴は、ニシキアリノスアブ:Microdon yokohamaiの記載と異なる部分がありません。♀個体では、第4腹板の被毛に淡色のものが混在することが異なりますが、それ以外は全く一致しているようです。 ミヤマアリノスアブの胸部はどのような色彩なのでしょうか?
ミヤマアリノスアブは,私のHPに載っていますが,撮影方法が古いのでちょっと色が違って見えます.生時にどのような色彩であったかが,うろ覚えなのですが,ニシキのような顕著な色彩はしてなかったと思います.
pakenya様が採集したのも,恐らくミヤマとしている種類なのでしょう. 後は,自力で調べるしかないようです;^_^) 北大で撮影した写真を調べたところ,Microdon nigrodorsatumはアリノスアブMicrodon japonicusに近似した種類のようでした.(スナップ的に写した写真なので,あまり良くわかりません) 本州のアリノスアブも,細かく調べると色々と出てくるかもしれません.
はじめてコメントさせていただきます。北海道の種の著者の一人です。市毛様のおっしゃるとおりニシキと「ミヤマ」(=「シリグロ」)は非常に近縁で、ニシキを記載する際にも同種すべきか否か迷いました。しかし、頭部の形態(計測値)が明瞭に異なるのと、寄主が異なるということで(ニシキがクロヤマアリを寄主とするのに対し、「ミヤマ」がヤマクロヤマアリを寄主とする)、今後の課題に残しておこうという結論に達しました。まだ知られていませんが、ヤマクロヤマアリの分布からして東北地方でも採集される可能性があり、北海道と本州中部の間の標本を待って検討したいと考えています。
入笠山の個体はわたしも採集しており、一般に「ミヤマ」と呼ばれている種と同種であることを確認しています。 ちなみにこの仲間の交尾器は複雑でありながらもほとんど使えません。内部構造も詳しく調べましたが、いまのところ同定に有用な形質は見つかっていません。アメリカのMicrodonは詳しく調べられていますが、その著者によると交尾器が使えないのはどこでも同じようで、腹部の毛斑や色彩、頭部の計測値がやはり手がかりとなるようです。
maruyama様.
わざわざ御足労ありがとうございます<m(__)m> 本州編のアリノスアブの検索が出るのをお待ちしております.
maruyama様、ご無沙汰しております。
・・・って、ハンドル名だけじゃ判らないかな。 ミヤマ、シリグロ、ニシキの周辺の事情を理解しました。 東北や奥只見でも探してみます。 また、よろしくお願いします。
市毛様、まだまだ細かい問題が多く残されており、検索表は当分先になるとは思いますが、とりあえずは「日本産好蟻性昆虫データベース」を数年中に公開する予定で、そこに大部分の種の写真を掲載したいと考えております。
pakenya様、うーん、すみません。どなたかわかりません。よろしければ、個人的にメールいただけると幸いです。奥只見で調査されているのでしたら、新潟から最近記載された正体不明種nigrodorsatumがそのあたりに分布する種に該当するかもしれません。成果を楽しみにしております。 |
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