サタニクバエ 投稿者:さんご 投稿日:2010/02/01(Mon) 08:55:53 No.6127 しばらくアクセスできない状態でしたが,復旧おめでとうございます.管理人さんの御苦労がしのばれます. 早速ですが,先日のお礼かたがた,あまり画像が提示されることが少ないと思われるニクバエのゲニの画像を提示します.何かのお役にたてれば幸いです.(同定が間違っていましたらご指摘願います.) 1つ目はカヤニクバエSarcophaga (Asiopierretia) kayaensis,ですよね!? 2009年5月4日,山口県萩市佐々並開作,山間部農村地帯の小川の岸辺で採集しました. 添付:6127.jpg (47KB) Re: サタニクバエ - さんご 2010/02/01(Mon) 10:49:51 No.6128
2つ目はヌマニクバエS. (Rosellea) uliginosaと思います. 2009年6月17日,山口県岩国市錦町羅漢山山頂. Re: サタニクバエ - さんご 2010/02/01(Mon) 10:51:56 No.6129 すみません,画像が出ませんでした.再トライします. Re: サタニクバエ - さんご 2010/02/01(Mon) 10:56:16 No.6130 3つ目は,サタニクバエ S. (Heteronychia) depressifrons でよいでしょうか? 2009年6月11日,山口県下関市豊田町 華山山頂. Re: サタニクバエ - さんご 2010/02/01(Mon) 11:02:49 No.6131 4つ目は,ホザワニクバエ S. (Horiisca) hozawaiと思いますが,いかがでしょうか. 山口県山口市鋳銭司 陶ケ岳山頂,2009年6月25日,同7月7日ほか. 4つともFauna Japonica の図を参照して同定しましたが,カヤニクバエなどは原記載の図とFauna Japonicaの図が微妙に違っていて,同定が正しいか不安です. いずれも各地で採れているものとは思いますが,なにかの参考になれば幸いです. 他のものは画像が準備できましたらまた投稿させていただきます. Re: サタニクバエ - 茨城@市毛 2010/02/02(Tue) 23:28:17 No.6133 さんご様. いずれも,私にとっては初めて見る種類ですので,極東の昆虫の検索に転載された線画で描かれた交尾器と比較しながら眺めてみました. さんご様の御指摘どおり,カヤニクバエ Sarcophaga (Asiopierretia) kayaensisはFauna Japonicaの図とは違う種類に見えますね. そもそもFauna Japonicaの図とParkの図とでventraliaの形状やforceps(post. paramere)の湾曲が異なっていることに驚きました. 基産地はSouth Koreaですので,ここまで変化しないと思うのですが・・・・ こんなこともあるのですね. ニクバエ屋さんの登場を待ちましょう;^_^) Re: サタニクバエ - さんご 2010/02/03(Wed) 08:29:51 No.6134 市毛 様 コメントをいただきましてありがとうございます. いつもこの掲示板で市毛様の書き込みをみて勉強させていただいております.私のような地方のアマチュアにとって,大変勉強になります.非常にありがたいです.この場をお借りして御礼申し上げます. さて,カヤニクバエですが,すでにお気付きとは思いますが,原記載とFauna Japonicaでは胸部の剛毛と,翅のr4+5脈にある短毛の記述も違っていて,文章だけみると別種のようにすら思えます. Parkでは,dc剛毛は3+4で,r4+5には9本のsetaeあり,ですが, Fauan Japonicaでは,dcは5+5, r4+5のsetaeは12本(10-15本), と記されています. それで今回の個体ですが,dcは3+4, r4+5に9本のsetaeがあるように見え,この点は原記載と一致するのですが,aedeagusの形はどちらかというとFauna Japonicaに似ているようです. ずいぶん悩みましたが,胸部背面を穴があくほど凝視すると,剛毛と剛毛の間の細毛にも微妙な大小があり,このやや大きめの細毛をカウントするか否かで,結果が変わってくるかもしれないと,むりやり解釈しました. それにしても,5+5は相当むりがあるようには思います. のちほど画像をアップします. ゲニタリアですが,Parkの図のventraliaが,先端に向かうほど広がっているように描かれていますが,これも実物のほうを眼が充血するほど眺めていると,やや腹側からみるとこのように見える瞬間があるように思えてきまして,結局,これらは報告者の癖もしくは個性の違いによるものと解釈してカヤニクバエと判定しました. 記載文の,このような読み方って問題があるでしょうか? Re: サタニクバエ - さんご 2010/02/03(Wed) 08:32:32 No.6135 背部の剛毛です. 見にくい写真で恐縮です.私のつたない技術では細かい毛まで描写することは難しいです. こんな不鮮明な写真でコメントを求められても困りますよね.自覚はしているのですが・・・ ハエの見方や考え方だけでもおしえていただけると大変ありがたいです. pre-dcは3,やや大きめの細毛をカウントすると4,ちいさいものまでいれると5,かな? と考えました. post-dcはどうみても4までしかカウントできませんが,横溝近くに,一本だけほかよりもかすかに大きい毛があり,これをいれてようやく5になります. このあたりの,剛毛と細毛の解釈の線引きってみなさんどうされているのでしょうか? Re: サタニクバエ - さんご 2010/02/03(Wed) 08:51:30 No.6136 Aedeagusを撮り直してみました.Parkの原図に一番近い形になるようにしてみました.若干腹側,若干後方から撮りました. 頭に角か耳のある,タツノオトシゴのような形をした先端部 (apical plateと呼ぶのでしょうか?)と,左右のventraliaが内側に丸まって,タツノオトシゴが腕で何かを抱え込んでいるように見えるのが,この個体のaedeagusの特徴です. Parkの図でventraliaの黒く描かれている部分が,観察者からみて手前側の,白く描かれた部分が向こう側のventraliaと解釈してみました. 写真が汚くて申し訳ありません.立体的なものを撮影するのは本当に難しいですね. それにしてもParkの図とは全体の丸っこさが微妙に異なるようにも見えます. 自己流の解釈で,むりやりkayaensisにしたような感じですが,このような考えで同定するのは問題ありでしょうか? 今後とも,よろしくお願い申し上げます. Re: サタニクバエ - ケンセイ 2010/02/06(Sat) 12:58:08 No.6137 さんごさま、はじめまして 仕事でニクバエは良く同定しているケンセイです。 ニクバエ珍品の交尾器画像ありがとうございます。 いずれも初めて見る種で目の保養をさせていただいております^^ ファウナヤポニカの図は確かにわかりにくいですね。 絵としてはすばらしいと思うのですが、もう少し単純な線画の方が形や構造がわかるので、同定には使いやすいですね。 私もヒメニクバエを初めて同定したときは、該当するゲニが見当たらなく、かなり悩んだことがありました。 今回のkayaensisの件は、専門家の登場を待ちたいと思います。 ところで、ニクバエはぱっと見が同じなのにゲニが違う多くの種がいますが、幼虫の餌は概ね腐肉等なのに、なぜ普通種と珍品がいるのか、なぜ環境ですみ分け(例えばハマベニクバエは海浜など)しているのか不思議に思ったことはありませんか? 私はずっとそのことが不思議で今に至っております。幼虫の餌の好みが種毎に微妙に違うのか、成虫が生息環境を選り好むのかずっと不思議に思っております。 ということで、今後ともよろしくお願いします。 ケンセイ@生息地:小平市 Re: サタニクバエ - さんご 2010/02/07(Sun) 03:01:17 No.6138 ケンセイ様 コメントをいただきまして,誠にありがとうございました.こちらこそ当掲示板にてケンセイ様の書き込みを見て勉強させていただいております.大変参考になります. 今回,下手な写真を提示しましたのは,一つには,同定に全く自信がないので詳しい方のご意見,ご批判を仰いで勉強したい,ということと,実は私もヒメニクバエの同定で悩んでいたときに,当掲示板でヒメニクバエの画像が提示されていて,非常に助かったことがありまして,その恩返しといいますか,私が提示する写真についての,詳しい方々のご批判,討論などが,私と同じような,独学のアマチュアにとっては非常に有用だろうと考えたこと,もう一つは,これらの虫の死を無駄にしたくない,という思いがあって,提示させていただきました. ご指摘のように,外見が同じ,すなわち成虫の身体能力に大差ないのに,非常に多様な種があることに私も驚いています.また,種によって環境の嗜好がかなりはっきり異なっているように私も感じていました. あらゆる環境に適応できる単一の種が繁栄するパターンと異なり,特定の環境に対して特化することで,不必要な遺伝子なり酵素なりを省略し,単純化・軽量化する道を突き進んだ結果,著しく多様化したという部分もあるのかな,などと勝手に推測しておりました.本当に不思議ですね. ところで,ニクバエって,外見はほとんど同じなのに,家に帰ってからゲニタリアを引き出すと,全く異なったものがでてくるので,くじ引きの当選番号を見るときのようなスリルがあって,最高ですね.こんな面白い虫はそうはいないと思っています(自分だけですかね). 今後ともよろしくお願いします. Re: サタニクバエ - ケンセイ 2010/02/07(Sun) 11:07:22 No.6139 さんご様 >ところで,ニクバエって,外見はほとんど同じなのに,家に 帰ってからゲニタリアを引き出すと,全く異なったものがでてくるので,くじ引きの当選番号を見るときのようなスリルがあって,最高ですね.こんな面白い虫はそうはいないと思っています(自分だけですかね). おお、私も密かに楽しんでおります^^ 他の調査員にも「ニクバエは♂を採ってください!♀は採らなくても良いです。」と昔からいつも騒いでいるため、どこの現場でもそこそこのニクバエは得られるようになっています。ただし、最近はあまり環境の良い現場に行っていないせいか珍品には巡り会っていません。自分が採集した一番珍しいと思われるニクバエは「フルトネニクバエ」でしょうか?山形の調査で採りました。 ではよろしくお願いします。 ケンセイ@そういえば最近ニクバエはあまりマウントしていない・・・ Re: サタニクバエ - さんご 2010/02/07(Sun) 18:01:39 No.6140 ケンセイ様 フルトネですか! いいですね〜.一度でいいから見てみたい憧れのハエの1つです. フルトネは,やはり湿地で見つかるのでしょうか? 平地の湿地にいそうな感じの名前ですね.山口県にはよい湿地がないので,カエルキンバエを含め,こちらでの発見は絶望的と考えていますが,なんとか見つけたいものです. 山形県となると,やはりどちらかというと寒冷地性のものなんでしょうね. 今年は島根県か広島県あたりでトライしてみようと思っています. またよろしくお願い致します. Re: サタニクバエ - ケンセイ 2010/02/07(Sun) 22:09:26 No.6141 さんご様 フルトネ(だと思っているのですがずいぶん前に同定したのではたして正しいかどうか少し?です)は、山形県のギフチョウとヒメギフチョウの混生地周辺の早春調査の際に確認しました。時期はゴールデンウィーク前後だったような記憶があります。環境は里山的なところでした。標本もあるはずですが何分整理整頓下手なもので、どこかに埋もれております^^;;; カエルキンバエが生息している岩木川ではニクバエ相はぱっとしなかったですね。渡良瀬遊水池や菅生沼でもあまり良いニクバエを採集した記憶はありません。湿地周辺はニクバエ相はあまり多様ではないような気がします。 ケンセイ Re: サタニクバエ - ハエ男 2010/02/08(Mon) 00:10:19 No.6142 このところ4メートルの雪に囲まれて仕事しているハエ男In白馬村です。 とりあえず、さんごさんの推測の通りで良いと思います。 私はニクバエの同定の際に迷うとY字型の第五腹板を見るようにしています・・・(これがかなり便利で使えます) ぜひ第5腹板も見てみてください。 Re: サタニクバエ - さんご 2010/02/08(Mon) 01:52:24 No.6143 ケンセイ様 フルトネの生息環境について貴重な情報をいただきまして,誠にありがとうございます.来年はぜひ里山でも採集したいと思います. 今後とも,よろしくお願いいたします. ハエ男様 はじめまして.大雪で大変のようですね.いつもは長野県がうらやましいと思っていますが,冬はやはり相当大変なのですね. コメントをいただきまして,誠にありがとうございます.また,この掲示板の運営,管理につきまして,心より御礼申し上げます.いつもこの掲示板の情報を読んで勉強しております.大変ありがたいです. カヤニクバエその他ご確認いただきましてありがとうございました.不鮮明な画像で申し訳ありませんでした. 第5腹板を確認し,いずれも大きな違いはないように思いました. Fauna Japonica と原記載の記述に相違があると,素人は困ってしまいます.こんなことって他にもあるのでしょうね.今後は第5腹板までしっかり確認したいと思います. 今後も,下手な写真を投稿させいただきますので,どうぞよろしくお願いいたします. |