ミスジハマダラミバエの1種 投稿者:アーチャーン 投稿日:2009/03/18(Wed) 10:41:21 No.5280 先日(20009年3月15日)撮影したミバエです。気温が高くなり敏感で直ぐに逃げられた為、背面からの写真しかありません。 ミスジハマダラミバエの仲間(Trypeta)と思いますが、小楯板は一様に黄色です。北隆館の新訂圖鑑に拠れば、Trypetaの多くは中胸後盾板(=小楯板と理解します)が黒色部を持つが、「中胸後盾板が一様に黄褐色で、3条の前翅斑紋が明確なT.apicalisとT.luteonotaが本州と九州に分布する」と書かれています。一方、九大の目録に拠れば、前者は本州、後者は九州台湾に分布するとあります。北隆館の解説は「T.apicalisとT.luteonotaが(共に)本州と九州に分布する」と理解するのが普通かと思われますが、「T.apicalisとT.luteonotaが(それぞれ)本州と九州に分布する」と解釈出来なくもありません。 No.3347に始まるスレッドにこの写真とよく似たミバエが出ており、ハエ男氏は「小盾板がほぼ黄色であるところからミバエ科のTrypeta luteonotaの♀ではないかと思われます」と書かれています。T.luteonotaは本州にも分布するのでしょうか。 また、圖鑑解説の「3本の前翅斑紋が明確な」はT.apicalisのみにかかるのか両種にかかるのか些か不明瞭ですが、前者の解釈を採ると、このミバエは三条の斑紋が明確ではありませんのでT.luteonotaとして良いのでしょうか。 宜しく御教示下さい。 添付:5280.jpg (82KB) Re: ミスジハマダラミバエの1種 - 茨城_市毛 2009/04/12(Sun) 10:09:07 No.5353
アーチャーン様. 発言を見直していたら,スルーされていようなので,亀レスですがコメントしておきます. 市田(1994)によるとT. luteonotaは本州と九州に分布するようです.本種は,雄と雌とで翅の斑紋が異なります. 写真のミバエは,T. luteonotaの♂の図とは若干斑紋が異なり,T. digestaとの中間的な斑紋に見えます. Trypeta属については,新訂大図鑑(末吉)とIto(1983-1985)等とで学名が結構異なるようなので,注意が必要です. また,T. apicalisについては情報が無いのでよく分かりません.下記の原記載を見てみると良いかもしれません. なお,極東の昆虫の検索などでは,T. apicalisはT. luteonotaのシノニムとなっています. * Shinji, O. 1939. [On the Trypetidae of north-eastern Japan, with the description of new species (2)]. Insect World (Gifu) 43: 320-324. Re: ミスジハマダラミバエの1種 - アーチャーン 2009/04/13(Mon) 09:29:05 No.5359 茨城_市毛様: コメント有り難う御座います。もう誰からも見放されたのかと思っていました(笑)。 私は、明後日より、東南アジア方面に長期の調査旅行に出かけますので、現在その準備で忙しく、また、その他の用事も多々あり、論文を読む時間がありません。帰国してから、じっくり検討したいと思います。 取り敢えず、御礼まで。 Re: ミスジハマダラミバエの1種 - ウミユスリカ 2009/04/13(Mon) 13:21:51 No.5361 アーチャーン様 書き込みをしようと思っていたのですが、脊椎関節炎の症状がひどくなってしまってそれどころではなかったので放置してしまっておりました。ミバエ科は集めてある文献の数も少ないので、思い悩んでいるうちに時間がすぐに過ぎてしまいます・・・ Re: ミスジハマダラミバエの1種 - アーチャーン 2009/04/14(Tue) 21:29:11 No.5379 ウミユスリカ様、市毛様、皆様: それでは明日早朝出立致します。 昨年秋に撮ったショウジョウバエ科やホソショウジョウバエ科と思われる虫の写真が溜まっています。帰国しましたら、また、宜しく御指導下さい。 Re: ミスジハマダラミバエの1種 - ほげ 2009/04/30(Thu) 00:59:12 No.5421 はじめて投稿します。通りすがりのものです。ミバエが好きですが、他のハエのことは(も?)よくわかりません。 まず小盾板の色ですが、Trypeta属のものはみな一様に黄色です。色の変化が出るのは、その後ろのmediotergite(後胸背板?…日本語で何て言うのでしょう?)の部分です。写真を見る限り、mediotergiteにあたる部分が黒色のようですので、ここが一様に黄色になるT.luteonota(T.apicalis)とは異なる種、ということになります。 T.digestaはよく似ていると思いますが、dm-cu脈付近の黒斑やsub costa室にある黒斑の出方が少し異なるような印象です。あと、この種は単眼剛毛(oc)がかなり短かったような(←かなり怪しい(^_^;) 標本チェックしないと)。写真のミバエには単眼剛毛がはっきりと(長いのが)生えているように思えます。 翅の斑紋パターンでは、Cornutrypeta属にも似たようなものがいます。この属のものは頭部剛毛の状態に明瞭な雌雄差があるのが特徴(Vidalia属みたいな感じ)ですが、メスはTrypeta属にそっくりです。写真のミバエの性別はよく分かりませんが、腹部の形状から推測するに、オスのように見えます。 …ということで(?)、私の見た感じとしては、写真のミバエはミスジハマダラミバエ Trypeta artemisicola でいいのかな?と思っています。斑紋パターンが随分異なるところが気になりますが、テネラルならばこんな風に出ててもおかしくないのかなと。あと出現時期がかなり早い(普通は5−6月ごろ&夏)ところも気になります。写真ではわからない体長等の情報によっては、まったくの検討違いかも知れません。 間違っていたら申し訳ないです。また、遅レスでごめんなさいです(頻繁にチェックしないので…)。 |