ヒメフンバエ♀ 投稿者:アーチャーン 投稿日:2009/02/12(Thu) 11:19:33 No.5087 ヒメフンバエの雌で間違いないと思いますが、確認の為。居たのはシナホソカトリバエやウスイロアシブトケバエと同時同所で、東京都世田谷区西部で11月10日です。 学名はTKMではScopeuma stercoraria、九大や此方のリストではScathophaga stercorariaとなっていますが、何方が正しい学名でしょうか。またScathophagaは意味からすると(随分露骨な名前なので笑ってしまいました)Scatophagaの筈で、実際、この両者が使われています。原記載では何方なのでしょうか。 添付:5087.jpg (66KB) Re: ヒメフンバエ♀ - アーチャーン 2009/02/12(Thu) 11:21:36 No.5088
少し斜め前から見た図。interfrontal bristleが無いのが良く分かります。 Re: ヒメフンバエ♀ - アノニモミイア 2009/02/12(Thu) 15:02:24 No.5090 これらの学名の事情はSabrosky, C. S.(1999) Family-gorup names in Diptera and bibliography, An annotated catalog. Myia, vol. 10に詳しく出ています。 要するに、ヒメフンバエ属の命名者Meigen(1803)は、属の模式種Musca merdaria Fabricius, 1794に基づいて、Scathophaga属を創設しました。この模式種は今のScathophaga stercoraria (Linnaeus, 1758)のことです。この属名の原綴はMeigenの間違いで、本来はScatophagaとすべきでしたので、Meigen自身も、その後の著者もしばしばScatophagaとしていました。しかし、この属名に基づいて科名をScatophagidaeとすると、すでに魚類でもScatophagus属に基づいてScatophagidaeを使っているので、混乱を避けるために科名はMeigenの原綴のScathophagaに基づいてScathophagidaeがつかわれてきました。 Vockerothさんは北米のカタログの中で、属名についてはScatophagaを用い、かつこの綴りが慣用されているので、国際動物命名規約委員会にこれを使うように申請したと示しています。 しかし、おそらくその申請は了承されなかったのでしょう、現在はMeigenの元の綴りのScathophagaが北米のマニュアルでも旧北区のマニュアルでも用いられており、科名Scathophagidaeとの同一性が保たれています。 なお、ScopeumaはMeigenの1800年の名称でこれは国際動物命名規約委員会によって1963年に無効にされているもので、使えません。1800年の名称と1803年の名称はセットになっているものが多く、1803年の名称が知られていたのですが、その後1800年の出版が発見されて、対応する属名を一時はすべて1800年の名称に置き換えましたが、その後、上記のとおり1800年の名称はりジェクトされて、対応する1803年の名称が使われています。このような例は、ヤリバエ属のMusidoraとLonchoptera,ガガンボダマシ属のPetauristaとTrichocera、ヒラタアシバエ属のClythiaとPlatypezaなどなどたくさんあります。 Re: ヒメフンバエ♀ - アーチャーン 2009/02/12(Thu) 16:07:03 No.5091 アノニモミイア様: 学名の経緯に関する詳細な情報有難う御座いました。一旦綴りを間違えると、簡単に直すことが出来ない場合があると言うことですね。 アノニモミイア様ならではのお話と存じます。有難う御座いました。 |