田んぼのハエ 投稿者:ぽんたくん 投稿日:2007/08/21(Tue) 17:47:44 No.3797 私の父は兵庫県丹波市で有機米を作っているのですが、先日私にイネを加害する昆虫を調べて欲しいということで、田んぼのイネ、田んぼのあぜ、周辺のイネ科草本群落。以上の3環境で定量採集しました。現在同定中なのですがハエは苦手としており、専門としている方に教えていただきたいのです。写真の種(キモグリバエ科?)は田んぼのあぜで採集しました。体長は約3mmです。どうぞよろしくお願いします。 添付:3797.jpg (85KB) Re: 田んぼのハエ - ハエ男 2007/08/21(Tue) 19:56:23 No.3799
きちんとした正確な同定をご希望の場合は本サイトのトップページに公開してあります管理人ハエ男こと(古田治)の方までご連絡ください。 ハエ目の画像による同定は、現実にはかなり厳しい作業であると言わざるを得ません。チョウなどと異なり、体色や紋を見る前に、翅脈や体の剛毛、刺毛などで科など識別することが多いからです。特に微小なハエの場合は♂交尾器を見ないと同定できない場合がほとんどなので、現物が保管してあることというのが前提条件になります。 当BBSでは画像の中に典型的な形質がきちんと写っているものに関してはお答えしています(またはご覧いただいてる各グループの専門家の方々が回答してくれる場合もあります。) 今回の場合は、水田という事もあり、確実ではありませんがイネキモグリバエである確立が高いと思います。 Re: 田んぼのハエ - ぽんたくん 2007/08/22(Wed) 08:53:47 No.3801 ハエ男様、ありがとうございました。イネキモグリバエの可能性があるとのこと、これ以上は自力で調べて見ます。 ハエ男様のお仕事は調査や名前を調べたりすることが本業のようですね。残念ながら私は趣味でやっているので連絡は控えさせていただきます。これまでも掲示板を拝見させていただいていたので、今回の写真もそれなりに考えて撮影したのですがだめだったようですね。今回の種以外にもいっぱい採ったのですがどれも数ミリの微小種でした。重要な形質がわかるように撮影できそうにないので、もう少し自力であがいてみます。せめて何の仲間かぐらいは推定してからお尋ねいたします。 Re: 参考文献 - ハエ男 2007/08/22(Wed) 22:22:59 No.3803 日本産キモグリバエ科を調べられる図鑑は残念ながらありません。 キモグリバエ科をさらに細かく調べるのでしたら下記タイトルの文献が必要です。(日本のキモグリバエ科のモノグラフです) Kinkichi KANMIYA A Systematic Study of The Japanese Chlopidae (Diptera) 1983.The Entomological Society of Washington p.1-370 これによりますとキモグリバエ科はこれまでに世界で2000種、日本では140種強の記録があるとなっています。 Re: 参考文献 - アノニモミイア 2007/08/23(Thu) 17:46:12 No.3804 ハエ男さんの紹介されたK. Kanmiyaの日本産キモグリバエの総説の文献は,検索に関連した図がほとんどでていませんし,全形図も一つも入っていないので,この群の素人がこれを使ってキモグリバエを検索するのはかなりの辛抱と熟練が必要だろうと思います.この文献があればすぐにでもキモグリバエが同定できるというものではないと思います.私はとても使いこなせません.属などの見当をつけるのなら,むしろ旧北区の双翅目のマニュアルの方が便利でしょう.これにはいろいろな属について全形図がありますので,これで属の見当をつけてから.Kanmiyaの日本の総説で種を検索すると言うのも一つの方法です. Re: 参考文献 - ぽんたくん 2007/08/23(Thu) 22:50:27 No.3805 アノニモミイアさま、ありがとうございます。 ハエはキモグリバエ科だけでないことを考えると「んぎゃー!!」と叫んでしまいますね。せめて科ぐらいは分かるようになりたいです。これからも識別に重要な形質が移っていない画像でお尋ねすることもあると思いますが素人に免じてお許し願えたら幸いでございます。 Re: 田んぼのハエ - ハエ男 2007/08/24(Fri) 01:05:57 No.3806 ぽんたくん>私のところに北海道の試験場でハモグリバエの研究をされている先生から上記の画像についてのメールが入りましたので転載します。(一部BS用に言葉遣いは改変) 以下転載文--- BBS「一寸のハエにも五分の大和魂」内に見慣れたキモグリバエに似た画像が目につきましたのでメールしました。(「田んぼのハエ」)。 このハエは、麦の害虫であるムギキモグリバエと同じ属のMeromyza属だと思います。腿節が肥大しているのが特徴です。 イネキモグリバエは北海道でも局地的にしか発生していないようで、私はまだ現物(生きたもの)を見たことがありませんが、もう少しころんとした丸っこい体型だろうと思います。場所が兵庫県とのことなので確信はもてませんが、水田畦畔ではムギキモグリバエの類似種であるMeromyza orientalisというのが沢山とれます。生きている時はもう少し緑色がかっています。頭部や胸部背面の色彩を見た限りでは、orientalisによく似ています。他の国産数種を私は見たことがないので自信はありませんが。orientalisは畦畔では多数捕獲される種で、水田内でもすくい取りに混入することがあります。北海道では6月上〜7月中旬、8月中〜9月下旬の2回発生します。ホストはおそらくイネ科の複数の種(?属)と思います。イネそのものには寄生しないだろうと思います。 ここまで転載文 とのことでした。キモグリバエ科のMeromyza属と絞り込めれば農業試験場関連の文献などで、情報が得られるかもしれません。 Re: 田んぼのハエ - ぽんたくん 2007/08/24(Fri) 13:25:30 No.3808 ハエ男様、たびたびのご返信ありがとうございます。 確かにこの種は死んですぐはきれいな薄い緑色っぽい色をしていていました。イネのスイープでは1頭たりとも入らなかったのであぜのイネ科植物を食べている可能性があるのでしょうね。 名前調べは慎重にすべきですね。これからもよろしくお願いいたします。 |